誰が大統領になり、対日政策はどうなるのか、日韓関係は改善するのか

では、誰が新しい韓国の大統領になるのでしょうか。

与党「共に民主党」は、大統領予備選を行って、京畿道キョンギド城南ソンナム市長と京畿道知事を歴任した李在明イジェミョン氏を2021年10月10日に大統領候補に選びました。李在明氏は予備選で50.29%という過半数を超える票を獲得して前代表の李洛淵イナギョン氏を破ったのです。

保守系の最大野党「国民の力」も予備選で11月5日に選んだのは、前検察総長の尹錫悦ユンソギョル氏でした。尹錫悦氏は47.854%の票を取って慶尚南道キョンサンナムド元知事の洪準杓氏に6.35ポイントの差で勝っています。

他に有力候補もいないことから、韓国の大統領選は共に民主党の李在明氏と国民の力の尹錫悦氏との一騎打ちになっているといえます。

しかし2人には弱みがあって、まず李在明氏には大庄洞スキャンダルが噴出しています。

これは李在明氏が城南市長時代に推進していた大庄洞地域の再開発事業の不動産スキャンダルです。大庄洞地域の再開発事業に参加した民間企業の関係者が投資額の1000倍という異常に高額の配当金を受け取っており、これに李在明氏も関与していたのではないかという疑いが出てきたのでした。

尹錫悦氏には検事総長を務めていた時期に、野党に対して与党の政治家らを告発するようにそそのかしたという疑惑が持ち上がっています。

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どちらの疑惑も検察が捜査に乗り出しているものの、大統領選が終わるまでは逮捕にまでは踏み込まないといわれています。とすれば、李在明氏と尹錫悦氏のどちらかが大統領になるでしょう。

李在明氏は対日強硬派で、「日本を追い抜き、先進国に追い付き、世界をリードする国をつくっていく」と述べており、日本への対抗姿勢をアピールしています。尹錫悦氏は「大統領になったら、就任後直ちに韓日関係改善に乗り出す」と述べて日韓関係の立て直しに意欲を示しています。

とはいえ、李在明氏は現実主義者、尹錫悦氏は外交にうといともいわれており、実際に大統領になってみなければ、対日政策がどうなるのかは判然としません。ただし、韓国にとって日本は重要な隣国なのですから、やはり大統領が代われば、対日関係が改善する可能性はあるでしょう。