「精神科の薬は、やめられなくなる」のか

誤解その②「精神科に行くと、必ず薬を出される」

これもよくある勘違いです。精神科医が必ず薬を出すかというと、全くそんなことはありません。投薬をしなくても、ただしっかり休むことでよくなる人は結構います。たとえば、まずは2週間仕事を休んでもらってから再診し、そこで症状がよくなっていればそれでいいですし、症状があまり変わっていないようならば、「薬を使ってみましょうか」という話をすることも多いです。

また「精神科の薬は、一度飲んだらやめられなくなりそうでこわい」というイメージを持っている人もいます。確かに睡眠薬や不安を抑える薬(抗不安薬)の一部には、依存性のあるものもありますが、昔に比べれば依存性はかなり弱くなっていますし、慎重に使えば症状を抑えながらちゃんと薬をやめることが可能です。飲み始めたらやめられなくなるということはありません(※)

減薬、断薬は自己判断ではなく、医師の指導の下で行ってください

「隔離室」は、かなりレア

誤解その③「精神科に入院すると、隔離室に入れられる」

精神科の入院に対する誤解も根強く、「精神科の入院といえば隔離室」と考えている人は本当に多いです。

精神科の病棟には、「開放病棟」と「閉鎖病棟」の2つがあります。

開放病棟は、内科や外科などの病棟と同じで、個室や大部屋があり、建物の中は自由に動けますし、お見舞いも可能な病棟です。

一方、閉鎖病棟は病棟の出入り口に鍵がかかっていて、外部から自由に入ってこられないし、入院患者も自由に外に出ることはできません。

これは、患者さんを守るための仕組みです。例えば、死にたいという欲求を抱えている患者さんが、病棟から出て自分を傷つけたりしないようになっているわけです。外から自由にお見舞いに来れないようになっているのも、患者さんの治療のためです。例えば、家族に会うことで、患者さんが余計に調子を崩すケースはたくさんあります。

閉鎖病棟にも、開放病棟と同じように大部屋がありますが、ひとつ異なるのは隔離室がある点です。これが、多くの人が精神科の入院に抱くイメージの部屋でしょうが、隔離室に入るのは、非常にレアケース。部屋の数も非常に少ないです。

隔離室に入る患者さんは、閉鎖病棟でも特に調子が悪い、目が離せないほどの症状の人です。自由に廊下を歩いていたら、ガラスを突き破ってでも外に出ようとする人や、興奮して他の患者さんに暴力をふるうような人は、隔離室に入ってもらうことがあります。隔離室は外から鍵がかかるようになっていて、外からは開けられますが、中からは開けることができません。部屋にはベッドとトイレくらいしかありません。

よく問題になる身体拘束も隔離室の中だけで行われます。興奮があまりに激しくて暴れる人や、壁に頭をぶつけて死のうとする人などはが対象です。もちろん、そういった患者さんも、症状が落ち着いたら大部屋に戻って生活し、よくなれば退院していくという流れになります。

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