「親がなんか変」で真っ先にやることは介護保険の申請
介護はひとりで孤軍奮闘するものではない。というより奮闘してはいけない。賢くチームを作ろう。わが国には現状、介護保険制度が用意されているので、まずは、これに頼ることが先決だ。
「親がなんか変」と思った瞬間に行動だ。親の住まいがある役場に電話しよう。難しい用語は必要ない。ただ「介護についての相談」と言えば、一発OK。「介護認定」というものを取るべく、申請の仕方を教えてもらうのだ。
主な段取りは、こうだ。申請→聞き取り調査(認定調査)→主治医が意見書作成→コンピューターによる一次判定→介護認定審査会による二次判定で要介護度が決定される→役所から結果が送付される。通常、申請から決定の通知までは原則30日以内。
介護チームは、無料で実施される「介護認定」というもので、「要介護」(含む要支援)という認定が下りた時から結成される。
ケアマネジャー(以下、ケアマネ)をはじめとする介護のプロたちが、あなたの親のために、あなたという介護のキーパーソンを中心にチームを組んでくれるシステムの出来上がりだ(要介護認定は要支援と要介護を合わせて7段階に分かれる。介護サービスが区分支給限度基準額内で、所得に応じて1割から3割の自己負担額で利用できるしくみ)。
ここで「バカを見ないための裏ワザ」を3つ伝授しよう。
バカを見ないための裏ワザその1:介護認定の上手な取り方
1 認定調査には必ず本人の様子をよく知る家族が付き添うべし!
認定調査を受ける際は、介護を受ける老親本人だけでも制度上は問題ないが、そういう場になると、本人はつい頑張ってしまいがち。それゆえ、判定が軽く出て、実態とはそぐわなくなることは「あるある」なので、それを防ごう。
2 ケアマネが確定している(=すでに介護サービスを受けている)家庭では認定調査に担当ケアマネの同席を懇願するべし!
ケアマネに出席義務はないが、調査員は一見さん。その高齢者を見るのは初めてになる。日頃の様子を嫌というほど知っている専門家がバックアップしてくれたならば、鬼に金棒。
3 調査員の“特記事項”に載るように困っていることを具体的に訴えよ!
本人のプライドを傷つけてしまうため老親の耳には入れたくないことは、家族が調査員に別の場所で困っている介護の手間を回数も含めて具体的に訴えること。
4 主治医の意見書(特別な理由)は神の声と心得よ!
介護認定審査会では相当数の審議をしている。審査会の人の目に留めてもらわないと、そんなに困っていないだろうとスルーされる可能性が高い。ゆえに、かかりつけ医に困っていることを強力にアピールし「主治医意見書」の特記事項に強調して書いてもらうのも一手だ(なお、認定結果に不服がある場合は都道府県に不服申し立てをする前に市区町村の担当者と相談して区分変更を申請しよう)。