ハンバーガー1個を作るために1000リットルの水がいる

例えば1kgのトウモロコシを生産するためには、灌漑用水として1800リットルの水が必要です。牛はそういった穀物を大量に消費しながら育ちます。そのため、牛肉1kgを生産するためには、その約2万倍もの水(約2万リットル)が必要になります。また、豚肉1kgを生産するためには約6000リットル、鶏肉1kgを生産するためには約4500リットルの水が必要になると言われています。

身近な食べ物で換算してみると、例えば牛肉100gが使われている牛丼1杯を作るためには2000リットル、牛肉50gが使われているハンバーガー1個を作るためには1000リットルの水が使われています。

肉を食べるということは、同時に大量の水資源を消費したと考えることもできるのです。

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海外の水資源に依存している日本

では、日本のような食料を海外から輸入している国において、もしその輸入食料を自国で生産するとしたら、どの程度の水資源が必要になるのでしょうか。それを推定するために、「バーチャルウォーター(仮想水)」という概念があります。

日本の食料自給率が約40%と低いことは学校の授業でも習ったかと思います。つまり、水を大量に消費して生産される畜産物や農産物の多くを海外からの輸入に頼る日本は、バーチャルウォーターを海外から大量に輸入していると考えることもできます。

日本はアメリカやオーストラリアから大量の肉を、またブラジルやアルゼンチンなどから大量の飼料穀物を輸入していますが、これらの肉や穀物を生産する段階においては、極めて多くの水が消費されています。

海外から畜産物や農産物を輸入するということは、それは形を変えた水(バーチャルウォーター)の輸入と言うこともできるのです。

2005年において海外から日本に輸入されたバーチャルウォーターの総量は約800億立方メートルにもなり、その大半が食料に関係しています。日本は水資源が豊富な国と考えている人もいるかもしれません。しかし、バーチャルウォーターの輸入という観点から考えると、海外の水資源に大きく依存していることがわかります。世界で水不足や水質汚染などの問題が起きれば、それは私たちの生活とも決して無関係ではないのです。