マラソンやジム通いをしている人は注意が必要

中毒性のある「過度な運動」は老化を促進生活習慣病の予防や自律神経を整えるなど、健康維持のためには適度な運動をしましょう、というのが常識のようにいわれています。

写真=iStock.com/Sutad Watthanakul
※写真はイメージです

もちろん、適度に体を動かすこと、適度なストレスは老化予防につながるのですが、あくまでも程度の問題だということです。アスリート並みの激しい運動を自らに課すような、厳しいトレーニングは逆に老化を早めますので気をつけましょう。

その意味では、ストイックにマラソンやジム通いなどを日課にしている人は注意したほうがいいでしょう。ほとんどの方が自分に合った「適度」な運動をこなしていると思いますが、ああいった運動を日課にすることで、強迫観念に迫られてしまう人もいるからです。一日走らないだけで罪悪感を覚えたり、一日でもやめると筋力が落ちてしまうのではないかと不安になってしまったり。運動には一種の中毒性もあるんですね。

ずっと頑張って走り続けて苦しくなってくると、ランナーズハイというか、脳内麻薬が出てくる。そうした感覚に中毒性があって、そこに快感を覚えるのが「ジョギング病」とでも呼ぶべきものです。

東京オリンピックでも世界中のアスリートたちの素晴らしい活躍をたくさん目にしました。日々の厳しい鍛錬の賜物だと思います。しかし、技能的には上達しても、過度の有酸素運動は、老化という観点から見れば、実はマイナス方向にしか働いていません。

筋肉量が多い人は老けやすくなってしまう可能性も

一方、筋トレはいわゆる無酸素運動に当たりますので、それ自体は活性酸素を生み出す運動にはなりません。しかし、過度に筋肉を鍛えすぎると、酸素の消費量が一気に増えてしまいますので、有酸素運動のやりすぎと同じことになってしまいます。

適度な筋肉量をつけておくのは個体にとって大切なことですが、やはり適量というものはあります。適量をはるかにオーバーするような筋肉量をつけてしまうと、酸素消費がそれだけ増えてしまい、老化が進んでしまいます。ボディビルダーのような筋肉質の体は、代謝で栄養素を消費しますから、食べても食べても太りません。一見いいようだけれども、実はたくさん酸素を消費しているということになります。

これは、食べて食べてたくさんの酸素を消費してエネルギーを得ているのと同じことで、つまり、有酸素運動でどんどん酸素を消費しているのと同様の状態だと言えます。酸素をどんどん消費すると老化も早い。筋肉量が多い人は、加齢に伴い老けやすくなっていく傾向にある、という可能性も否定できないのです。

酸素をあまり必要とせずにエネルギーを得られる体質に変えていくことが、老化の抑制につながることがわかっています。先ほどの、マイルドなカロリー制限についても、摂取カロリーを80%程度に抑えた生活を続けることで、同じ程度のエネルギーを得るのに酸素の消費が少なくてすむような体質に変わっていきます。いかに酸素を多く消費しすぎないか、というところが、老化防止のひとつのポイントになります。