「適度なストレス」を見極めるのは難しい

しかし、そもそも必要なエネルギー摂取量というのは個人差が大きいので、適度なカロリー制限といっても、どの程度がその人にとっての「適度」なのか見極めがとても難しい。よく、年齢や性別、身体活動量などから、一日に必要なエネルギー量を示す表などがありますが、その人の適正カロリーというのは、体型や代謝状態、日々の活動内容などによって大きく異なります。

健康的な食事
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毎月、かかりつけクリニックに通って、定期的に活動量などを調べていけば、その人にとっての適正カロリーは算出できるでしょうが、そうした受診には保険がききませんし、誰もそんなことをやろうとはしませんね。

だから、個々人にとっての適正カロリーがはっきりしないまま、「適度なカロリー制限」などと言っても無責任なことになりかねないし、下手にカロリー制限をして栄養不足になると、それはもう完全に体に対してよろしくない状態ですから、私もあまり積極的には言えないところなのです。

ですが、栄養バランスに気をつけつつ適度にカロリー制限をすると、老化は抑制できるのです。それと同じことが紫外線などにも言えます。少量の紫外線であれば、体を強めて老化に対してむしろ予防的に働きます。しかし、その「少量」の見極めが難しい。

そこを超えてしまうと細胞にダメージを与えて老化を促進してしまうので、本当に難しいところです。各自の適正カロリーと理想的な食生活をきちんと管理するというシステムが将来的に構築できれば、それは老化予防として効果を発揮すると思います。

“過度な有酸素運動”は老化を進める

老化の原因にはさまざまなものがありますが、環境要因は大きいです。なかでも、紫外線と活性酸素の影響は無視できません。紫外線に関しては、過剰に紫外線を浴びないように気をつけるしかありません。

活性酸素のほうは、過剰な運動によって大量の活性酸素が発生してしまいますので、そこに気をつけるといいでしょう。人間は酸素を吸って生きています。酸素がないと生きていけません。ところが一方で、酸素は非常に有毒なんです。酸素を吸っているがゆえに老化すると言ってもいいくらい、酸素は体にダメージを与えます。

酸素は生きていくうえで必要不可欠であり、いいものではあるのですが、同時に悪いものでもあるという認識が必要です。活性酸素はあっという間に体内に発生し、あっという間に半減していきますが、活性酸素を大量に生み出す代表格が、過度な有酸素運動です。

「適度」ではなく「過度」ですので、読み間違えないよう注意してください。マラソンなどに限らず、有酸素運動であればなんでも、酸素をたくさん吸ってエネルギーを産生する過程で活性酸素を発生させてしまいます。この活性酸素が細胞を傷つけて老化へと誘導してしまうのです。