言葉遣いが荒い人、場を乱す人をどう収めるか

ハラスメントに敏感な昨今においても、誰かと意見を戦わせていてテンションが上がってくると、普段は使わない乱暴な言葉を発する人もいます。

番組でも、ひろゆきさんの鋭い意見がたびたび飛び出し、ゲストが答えに窮したり、暴言を吐いたり、怒ってしまいそうになることがあります。こういった場合、フェアな議論を維持するために、ファシリテーターは調整役を担わなければなりません。

写真=筆者提供
テレビ朝日の平石直之アナウンサー

何より、つい熱くなって暴言を吐いてしまった本人にとっても、終わったあとに後味の悪いものになってしまいます。

みなさんも、たとえば部署の代表として会議に出席したとき、違う意見を持つ部署の代表と真っ向から対立して、ついつい熱くなったり、またはそのような場面に遭遇した経験をもつ方もいらっしゃるかと思います。

ファシリテーターとしては、意見やその思いは大切にしながら、できるだけ自然に言葉遣いを軌道修正していくのが理想的な振る舞いと言えます。

ポイントは、鉄は熱いうちに打て、です。言葉遣いが少しでも荒れてきたと感じたら、極力早めに、やんわりと引き戻していくことが重要です。

そのためには、当人同士のあいだで使われている乱暴な言葉を、優しい言葉に言い換えていく必要があります。

「ささやかな言い換え」が摩擦を減らす

たとえば、ネガティブな言葉はその反対語を否定する形で和らげるのが、私の常套手段です。

「それは政策としては最悪だ!」と言う論客に対しては、「◯◯さんのご意見としては、その政策はあまりよろしくないということですが、それはどうしてでしょうか?」とカットインします。

「そんな卑怯なやり口はいつまでも通じないぞ!」と言う論客に対しては、「◯◯さん、その手法はあまりフェアではないということですが、ではどうすればいいのでしょうか?」と割って入ります。

あるいは、「いつまでも頭の悪いことをやってちゃダメだろ!」と言う論客に対しては、「◯◯さん、たしかにそれはあまり賢明なやり方ではないかもしれませんね」と言い換えをします。

このように、ささやかに言い換えることで摩擦を減らし、カットインを繰り返すことで、徐々にトーンダウンさせていくことが大切です。