すると、どうでしょう、ただビデオを見ていただけなのに、フォアハンドの打ち方も、バックハンドの打ち方も、基礎訓練のときに比べて段違いに向上することが明らかにされたのです。

「ただうまい人のやっていることを眺めるだけ」というテクニックは、なかなか効果的な方法だといえます。

科学的にも「うまい人から盗む」がいい

自分で、しっかり汗をかきながら練習するのもいいでしょう。そういう練習が不要だとはいいません。しかし、「うまい人から盗む」というやり方も、実は、大変に効果的なやり方なのだということは覚えておくといいでしょう。

仕事でもそうで、自分なりにがんばりながら、試行錯誤をして自分の技術なり、実力なりを磨いていくという姿勢は立派なものですが、別にそういうことをしなくとも、うまい人のやり方をしばらく眺めていれば、それなりに力はついてくるはずですよ。

料理人にしろ、大工さんにしろ、職人と呼ばれる人たちは、みな「モデリング法」を使って腕前を上げていきます。

もともと職人さんたちは、そんなに丁寧に指導もしてくれませんから(笑)、下の人間はどうしてもモデリングに頼らざるを得ないわけですが、実のところ、それは少しも悪い指導法ではないのかもしれません。

ちなみに、デスクワークでいうと、ただ机に座って作業をするだけなのに、何か技術のようなものがあるのだろうか、と思われる人がいるかもしれませんが、仕事ができる人をよくよく観察してみると、書類の置き方ですとか、メモの取り方ですとか、細かいところで普通の人とは違うことをやっているものです。

そういうものをバンバン盗ませてもらうといいでしょう。できる人の真似をしていれば、みなさん自身もそのうちできる人になることができますから。

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「やる気」が出ないときはエネルギッシュな人を眺める

がんばらずにパフォーマンスが上がるメソッド。三つ目は「エネルギッシュな人を眺めてみるだけ」です。

私たちは、自分が目にする人の影響を受けます

もともと性格的にのんびり屋さんでも、同じ職場で働いている人たちが、みなエネルギッシュに動き回っているのを見ていれば、そのうち自分も感化されて、エネルギッシュな人間になっていくものです。

どうにもモチベーションが上がらないときには、ホイホイと仕事を片づけていくような人を眺めてみましょう。エネルギッシュな人のそばで仕事をするのもいいですね。そのうち、何となく「自分もやってみるか」という気持ちになっていきますから。

米国ヴァージニア大学のモーリーン・ワイスは、水泳の経験がほとんどなく、水を怖がっていることが親にも確認されている子どもばかりを集めました。