スポーツ選手が活用する「セルフ・モデリング法」

このように、自分自身の姿を映像で確認してみることを、「セルフ・モデリング法」といいます。スポーツ選手などは、この方法をよくやっています。自分の練習風景や、試合中の自分の姿を録画しておき、それを何度も確認するのです。

自分のことを観察していれば、どこをどんな風に改善すればいいのかがわかってくるのですね。

カナダにあるオタワ大学のアマンダ・ライマルは、高飛び込みの水泳選手の男女10名に、大会前に、自分の飛び込みの映像を見てもらいました。

大会が終わった後、1時間以内にインタビューしてみたのですが、「映像で自分の姿を見ていたら、自分について考えさせられることが多く、モチベーションが上がったり、自信がついたりした」というポジティブな回答がたくさん寄せられることがわかったのです。

高飛び込み
写真=iStock.com/vm
※写真はイメージです

このテクニックは、スポーツ選手でなく、ビジネスマンが使ってもいいでしょう。

普段の自分の姿を録画しておき、「なんだか、今日はやる気が出ないなあ」というときには、自分の映像を眺めてみるのです。

すると、「なるほど、ここをこんな風に改善してみようかな」とか、「こうすると、もっとラクに作業ができるのではないか」といったアイデアがポンポンと浮かんできて、それがモチベーションを高めてくれるでしょう。

やる気が出ないとき、「やる気を出さなきゃ!」といくら念じても、やる気なんて出てくるわけがありません。

こんなときには、自分の映像でもぼんやり眺めていればいいのです。すると、いろいろと自己改善について考えさせられることが頭に浮かんできて、それが引き金となって、やる気のほうも引っ張り出してくれるのです。

「うまい人のやっていることを、見るだけ」のスゴイ効果

がんばらずにパフォーマンスが上がるメソッド。二つ目は「うまい人のやっていることを、見るだけ」です。

やる気が出ないときには、他の人の仕事ぶりを眺めてみるのもいいでしょう。

職場には、自分よりも成績のいい先輩ですとか、仕事のダンドリの上手な上司などがいるでしょうから、そういう人の仕事ぶりをこっそり盗ませてもらうのです。

この方法は、「モデル」(お手本)のやり方を真似するやり方なので、「モデリング法」と呼ばれています。

「ああ、なるほど、○○先輩はこんなやり方をしているのか」
「ふぅん、○△さんの手の動きは自分と違うなあ」

やる気が出ないときには、そういう観察の時間にあててください。仕事に疲れて、ちょっと休憩しているときでもいいかもしれません。

カリフォルニア州立大学サクラメント校のスティーブン・グレイは、24名の男子大学生のバドミントン初心者に、スイングの練習をさせてみたことがあります。

グリップの握り方や、足の運び方などの基礎的な訓練をさせたあとで、グレイは、モデリング法を試しました。20分間、プロ選手のビデオを視聴させてみたのです。