糖質中毒から脂質依存にアップデートせよ

先に触れたように、糖には強烈な依存性があります。その強さはラットの実験でコカイン以上と言われるほど。糖を摂ると血糖値が急激に上がり、ハッピーな気分になります。いわゆる「シュガーハイ」と言われるものですね。しかし、幸せな気分になるのは一瞬。その後、すぐに血糖値が落ち込み、猛烈な渇望感が生じてくる。この繰り返しによって糖への依存性が高まって、ますますやめられなくなるのです。

金森重樹『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』(扶桑社)

そこで糖への依存を断つために僕が考えたのは、「新たな依存先」を作ることでした。依存の対象先を糖から脂にシフトさせる。糖質中毒から脂質依存になるのです。なぜなら、旨味では糖質に勝つだけの依存性としては弱く、脂のほうが依存性としてはより強力だからです。

特に僕のダイエット法では、動物性脂質やMCTオイル、魚油等を使って脂質依存に移行させるのが肝。中毒性の高い糖に中毒性の高い脂質をあてる。言うならば、「毒をもって毒を制す」ならぬ「脂肪をもって脂肪を制す」の考えと言えましょう。

脂質依存になると、脳は甘いものを求めなくなります。これは、高脂質食を始めたフォロワーさんたちが口を揃えて言っていることですが、完全に脂質依存になった段階で甘いものへの欲求や渇望が消滅します。それは糖から脂質へのエネルギーの切り替えによって脂質でATP(エネルギーの源になるもの)が生まれるようになるため、糖の渇望が消えるのが理由です。

牛丼はインスリンを多く分泌させてしまう

もうひとつのわかりやすい効果としては、脂質が脳の視床下部に作用して、満腹感を感じさせるホルモン「レプチン」を分泌させるので、結果として食事の量も減っていきます。牛脂を50g食べると満腹になって、コースのメイン料理は入らない……なんてこともザラです。

なにより、脂質が優れているのはインスリンが出ないことです。ここにインスリン分泌の多寡の順序を挙げておきますので、ぜひ覚えてください。F(ファット)が脂質、P(プロテイン)がタンパク質、C(カーボン)が炭水化物なのですが、インスリンが多く出る食事の組み合わせ例は次のようになります。

『C+P(牛丼)>C(白米)>C+F(ポテトチップス)>P(赤身の肉)>P+F(脂身の多い肉)>F(牛脂)』

上位3つの組み合わせにはいずれもCが入っています。中間にはPが入る組み合わせが。一番下はFのみです。これが痩せるスピードにおいて、

断糖高脂質>MEC>糖質制限

となる理由の一つです。MECとは、肉・卵・チーズを中心とする食事法です。このインスリンをできるだけ出さない食事が、断糖高脂質食ダイエットの鍵になる序列です。

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