「命より先に歯が尽きる」いびつな日本人の食生活
事実、現代の日本では長年放置されてきた「歯」の問題が深刻化しています。「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」といういわゆる「8020運動」が推奨されていますが、死ぬまでに自分の歯が残っている人が少ないのが現状です。命より先に歯が尽きるのです。
そして英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal, BMJ)」(※2)では、米ハーバード大学の研究者らによって’12年3月に「白米の摂取量の増加が糖尿病のリスクを高める」との研究結果が発表されました。つまり今の日本人の食は非常にいびつで、糖質を主食にした食事を否定しない限り、健康にはならないと僕は考えています。もちろん歯も残りません。
※2…BMJ2015 Emily A Hu,An Pan,Vasanti Malik,Qi Sun,et al.White rice consumption and risk of type2 diabetes: meta-analysis and systematic review.BMJ 2012;344:e1454
逆に旧石器時代の先祖と同じような食事をしたらどうでしょう。それこそが、僕が偶然体験した「狩猟採集民族のような食生活」でした。たった2カ月で90kgから58kgに減量できただけでなく、肌にはハリが出て疲れにくくなり、気力もみなぎる。周りの人に驚かれるほど若返ったのです。
こうした食生活は心臓病や高血圧、糖尿病、がん、歯周病といった現代人が忌み嫌う病を遠ざけ、さらには減量も期待できるのです。
日本人の食生活は糖質のオンパレード
そもそも人類が糖質を摂るようになったのなんて、生物学的な進化の歴史で見れば「ほんの最近のこと」です。それまで狩猟や採集で食料を賄っていたのが、人類は一万年足らず前に農耕を取り入れることで安定的に食料にありつけるようになりました。農耕は社会構造を刷新するほどのインパクトがありました。
ところが農耕文明以降、米や麦、トウモロコシなどの穀物――つまり糖質を主食にするようになってから、人類は虫歯や歯周病の問題にも見舞われるようになりました。命より先に歯が尽きる、歯列の矯正が必要になる、という“退化”は、この弊害を端的に表しているように思います。
にもかかわらず現代の日本人の食生活は非常にいびつで、糖質のオンパレードと言っても過言ではありません。こんな状況では、メタボや生活習慣病と無縁でいられるわけがない。糖質を主体にした食事をやめない限り、現代人は途方もなく大きな健康リスクを抱えることになるのです。
1ページ目の図にもあるように、肥満は放置しておくと、次々と重篤な状況を体にもたらします。透析を欠かせない生活であったり、あるいは認知症であったり。“負の連鎖”は肥満から始まるのです。その肥満の原因となる糖質を制御することは、ただ太らないだけでなく、自分への投資にもつながります。ダイエット的な観点以外でも、糖質が健康に与える影響を人はもっと知るべきだと思います。