松山英樹が勝ったマスターズの会場で門下生の高3女子が優勝

男子プロゴルファーの松山英樹が日本人で初めてアメリカ・ジョージア州で開かれるマスターズで勝ったのが今年の4月12日。その2週前、同じ会場であるオーガスタナショナルからビッグニュースが届けられていた。高校生3年の梶谷翼が女子アマチュア選手権でやはり日本人として初の優勝を果たしたのだ。青木チルドレンの一人だ。

「僕のところに来たのが、中学校3年生の時。渋野を教え始めた次の年の春先だったと思います。お父さんから連絡を頂いて。ちょっとレッスンに来させてくださいと。小学生の頃から世界に出て戦っている子。僕も梶谷翼の名前は知っていたし。実績もあったのでめちゃくちゃ、うまかったですよ」

順調に成長していくわけだが、2人の距離感がおもしろい。梶谷はアカデミーに来た当初、人見知りで話さない子だったという。

「人見知りの子はグイグイ来られるのが苦手だから話せない。そういう子に対しては、基本的に待ちます。信頼してくれると自然に話せるようになるので。アニメとかマンガとかゲームとかの話を少しずつしました」

徐々に心を開いてくれた、という。

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また、梶谷には持っている技術もあったので、教えたものは多くないという。青木の指導の基本はこうだ。

「何事も、できるだけ言葉少なめに教えています。全てを言うと考えなくなるから、言わないんです。疑問は自分で調べる。青木さんが言っていることはなんだろうと考えさせて行動して、わからないことがあったら僕のところに来る。こういう循環だと向上のサイクルに乗る。どう乗せるかを大事にしています」

ただただ教えを待っていては伸びない。放置とはそういうことだ。

梶谷は今年11月、プロ試験を受けたが、残念ながら不合格だった。

「アドバイスは何も言わないです。楽しんでね、というだけです。その日の調子もありますし、結果はわからないので」

ここに青木のコーチングの極意がある。

「コーチを始めた頃は選手に細かく言っていました。でも、言っても結果は出ないんです。スコア設定するときはありますよ。2日間で、スコアいくつで回ってきなさいと。できなくてももちろん、怒らない。回って来られなかったら、なぜかを考える。何が足りなかったかと」