立憲民主党代表選の争点は野党共闘の是非ではない

立憲民主党代表選に向けて、マス・メディアは野党共闘の是非が争点だと煽っていますが、政権交代を目標とするならそれ以前の問題です。野党第1党がより多くの得票を集められないなら、他の野党に対する交渉力は弱いままです。野党共闘を見直すにしても続けるにしても、より多くの有権者から支持を集めることが立憲民主党には必須なのです。

したがって代表選は、まず立憲民主党の支持率の向上、勢力拡大の方策をめぐって議論されるべきでしょう。その結果として共産党や他党と相容れない方針を選択するなら、野党共闘を放棄するまでです。

もっともその場合、政権交代を目指す以上、他党に頼らなくても小選挙区を勝ち抜けるだけの得票率向上策を示せなければなりません。17ポイントの差を埋めるには、たとえば9ポイント近い票を与党候補から奪って自党候補の票とする、あるいは投票率を9ポイント近く上げてその分を自党候補の票とするような、大きな票の動きを生み出すことが必要となります。

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影響力を高めるには支持率向上や党勢拡大のための施策は必須

筆者の見通しでは、現状の立憲民主党が他の野党との協力無くして与党との差を埋めることはほぼ不可能です。

比例区の得票率を見ると、立憲民主党の20%に対して維新の会は14%、共産党は7%超の得票率となっています。国民民主党、れいわ新選組、社民党といった小党も合計すれば10%に達します。したがって、これらの勢力を全て無視して立憲民主党単独で自公に匹敵する50%近い得票率を選挙区で稼ぐことは現状では難しいはずです。

一方で他の野党も、他党と非協力の姿勢を貫いていては議席の維持や勢力拡大は簡単ではありません。おそらく、各党同士それぞれ適度に距離を取り、それぞれ独自の訴えで独自の支持層を確保しつつ選挙区の選挙では協調するというのが、強い与党に対する有効な対抗手段となるでしょう。

このとき立憲民主党が与党に対抗する勢力を主導したいなら、結局、より大きな勢力、高い支持率を得ていく必要があるわけです。その道筋の第一歩として、代表選は試金石となります。

しかし、立憲民主党代表選は告示まで、党内を横目で見ながら出方を伺うような展開となっていました。強大な与党に立ち向かう大きな物語を示し、幅広い有権者の支持をもとめて党外へのアピールを競う選挙とならなければ、野党第1党であっても代表選が盛り上がらないのは当然です。今後の論戦に期待したいところです。

ともかく、小選挙区の結果が全体の勢力比を左右する衆参両院の選挙において自民党と公明党の強力な連合に対抗するためには、「多弱」のままでは無理です。これはここ10年の日本政治の教訓であると同時に、今回衆院選で共闘した野党が小選挙区で獲得議席を増やしたことが示した事実と言えるでしょう。

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