立憲民主党は、衆院選の敗北で引責辞任した枝野幸男氏の後任を選ぶ代表選挙を、11月30日に行う。政治学者の菅原琢さんは「代表選では野党共闘の是非が争点になりつつある。野党共闘の効果はあったが、それだけで政権交代の実現は不可能だ。立憲民主党は他党に頼らなくても勝てるだけの力をつける必要がある」という――。
政局で増やした議席数以上に、支持者を増やせなかった
2021年衆院選は、日本維新の会が議席を大幅に伸ばし、自由民主党、立憲民主党の与野党第1党がともに「改選前議席」よりも議席を減らす結果となりました。これにより枝野幸男立憲民主党前代表が辞任し、代表選が行われることになったのはご存じの通りだと思います。ただ、この選挙結果の評価はなかなか難しいところがあります。
実は、選挙を分析する観点から見ると、多くのメディアが行っている「改選前議席」との比較は有益ではありません。立憲民主党に関して言えば、前回2017年の選挙から今回選挙の直前までの間に国会の議席数は大幅に増えています。これは、前回選挙で当選した希望の党の議員らが旧・国民民主党への合流を経て新・立憲民主党(2020年9月結成)に集った結果、膨れ上がった数字です。
選挙とは無関係の議席数と比較しても選挙結果の分析はできません。実際、旧・立憲民主党と比較すれば今回の新・立憲民主党は獲得議席も票数も増えていますから、立憲民主党は健闘したとする余地もあるでしょう。
もっとも、自ら巨大化させた党を支えるだけの議席を獲得できなかったのですから、その責任を取り代表が辞任することは理解できます。政局で増やした議席数以上に、立憲民主党の支持者、投票者を増やすことができなかったことが問題というわけです。