フォローがないと実際には動き出さない
【第3の鍵】話した後の「仕上げ」
話をして相手と合意できたとしても、その後、物事が期待通り進むとは限りません。話した後が、実は肝心です。
フォローとは、相手が動かざるをえない状況をつくっていくことです。何かを合意してもらう、許可してもらう、程度であればいいですが、組織を動かしてもらう、何かの骨を折ってもらう、という場合は、合意後の丁寧なフォローが不可欠になります。
合意後に忘れていることも多いですし、やろうとしてうまく動かなくて止まったままになるケースも少なくありません。
いい話ができてその気になってくれても、その後、丁寧にフォローしなければ、実際には動き出さないことが普通だと考えましょう。相手は別に悪気があるわけではないのです。
動き出さない理由はいくつもあります。
1.相手が合意後、部下に指示をし、組織を動かそうとしている場合
いかにも動きそうですが、実際は、しっかりフォローしないと前に進みません。
組織は、普段と違う動き、新しい動きをすることが決して簡単ではないからです。そもそも、上司から部下に、部下からその部下にしっかりとした指示を下ろさないと動きませんし、部門間の相互調整も必要です。
十数人の組織でも業務プロセス、仕事の流れなどは何らかの形で決まっていますので、それを変えたり、新たに動いたりすることそのものに抵抗を示します。
組織センスに優れた一部の経営トップはこの点を理解していますが、多くの方は自分が指示をすれば組織が動くと思っています。
部下は、指示を受けていつも動いたふりをするので、トップは長年、動いているものと思い込んでいるからです。ただ、実際はトップの指示の一部を選んで、通していることが多いのです。
少しでも調整が必要だったり、トップのわがままに見えたり、一部の部下の価値観に反していたりすると、ごく簡単なこと以外、無視されがちなのはこれが理由です。
もちろん、トップの指示を表だって無視できないので、「承知しました」と返事はするわけですが、そのあと、なし崩し的に放置します。
あるいは、責任を果たしたとばかり、さらに自分の部下に指示しながら、「いつものことだから、ほうっておけばいいよ」的なメッセージを伝えたりもします。
経験のない人は、経営者や組織の実力者が合意してくれたと安心して何もせず待つことが多いですが、それで動くことは期待できないと思ったほうがいいです。