普段からの関係構築が効果を大きく左右

【第1の鍵】話す前の「仕込み」

「人を動かす話し方」の第1の鍵は、話す前の仕込みです。相手にとって好ましくない状況、受け入れがたい状況になってから、どのように話し方を工夫しても手遅れになりがちです。

話す前にある程度は整えておく必要があります。スケジュール感などもできるだけ事前に伝えておきます。

他部署から突然何か頼まれても、こちらにも段取りがあるし、部署内の合意形成も必要なので、受けたくても受けられないこともありますよね。そのような前さばきをしておく、ということです。

その場でどう話すか以上に、話す手前の準備、お膳立て、普段からの関係構築が結果を大きく左右します。

関係が悪ければ、あわてて話そうとしても、口をきいてくれることすらむずかしいかも知れません。

「普段あんな態度のくせに、急に会いたいなんて都合のいいやつだな」と思われて終わります。試合前にゲームセットしてしまうようなものですね。不戦敗、あるいは反則負けと言ってもいいかもしれません。

これを防ぐには、普段からの心がけが大切です。ただ仕事やプライベートで、突然接点ができて話さなければならないこともしばしばあります。

この場合は、話す前の仕込みができないので、自分の普段からの姿勢と持てる力で勝負するしかありません。

望む方向にうまくリードできるか

【第2の鍵】話している間の「仕切り」

仕切りとは、「こちらの望む方向に相手あるいは相手のチームを動かしていくこと」です。

話をしていると、相手が同意したり、反発したり、元気になったり、気落ちしたりします。

それを把握しながら、こちらの望む方向にうまくリードしていかなければなりません。成り行き任せでは目的を果たせないからです。

「話している間の仕切り」は、相手が誰か、何人か、相手との関係がどうかによって大きく変わります。

経営会議での決定を引き出すなど、相手先の会議でプレゼンして望む結論を得るには、会議をうまくリードする(=仕切る)ことが必要になります。

1対1で話している場合でも、相手のエネルギーレベル、気力レベルを常に観察し、最大限上げていくように仕切っていきます。具体的に見ていきましょう。