カルシウムを摂っただけでは骨は強くならない
先ほど、高齢者は骨が弱いため、転倒で骨折しやすいとお話ししました。弱さの指標としては、骨の強度を示す骨密度があります。年を取ると骨がスカスカになってしまうので、骨密度は減ります。
骨密度低下を予防するには、カルシウムを1日650~700mg摂ることが推奨されています。じゃあサプリメントで摂ればいいか、というとサプリメントでは心筋梗塞になりやすいリスクがあります。
サプリメントですと血液中のカルシウム濃度が急激に上がるため、体に負担がかかってしまうからです。食事で摂取しましょう。どうしてもサプリメントを使いたい場合は、1回にカルシウムを500mg以上摂らないようにする必要があります。
骨というとカルシウムばかりに目が行きがちですが、骨をつくるにはビタミンD、ビタミンKが不可欠です。ビタミンDは5.5㎍、ビタミンKは150㎍摂る必要があります。ビタミンDやビタミンKは実際に処方薬としても出されるぐらい重要です。
ビタミンDは、腸でカルシウムを吸収するのに必要です。ビタミンDの含まれる食べ物としては、鮭が有名です。ビタミンKは骨をつくるための骨基質タンパク質の一つであるオステオカルシンに必要となります。小松菜やほうれん草がお勧めです。
一方、骨を強くするために避けたほうがよいのはリンが多い食品。清涼飲料水や加工食品の一部が該当しますので、これらをあまり口にしないほうがいいです。
・すぐに転ぶし、なんで住み慣れた家の中で? とあきれる
◎周りの人がすべき正しい行動
・「単に転ぶだけ」ではなく「転んだら一大事」と心得る
◎自分がこうならないために
・目を開けたまま片足立ちをしてみる。15秒もたなかったら重心が悪いと肝に銘じる
・片足立ちのトレーニングをする。ただし、無理のない範囲で
・目をつぶって片足立ちをして、目が重心を担っていることを一度実感する
・カルシウムを摂る
・ビタミンDとビタミンKも摂る
・リンを避ける
◎自分がこうなったら
・照明を明るくする
・夜間に電気をつけっぱなしにすることも視野に入れる
・階段で遠近両用メガネをかけている場合は、顎を引いて下を見る
・手すりをつける