便利なはずの遠近両用メガネが転倒の原因に

高齢者の転倒で目に関係することとしては、「遠近感」「メガネ」「光」が主な要素となります。

眼鏡
写真=iStock.com/smusselm
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まず遠近感ですが、年齢とともに衰えます。近く・遠くの判断がしにくくなるのです。そのため階段を踏み外しやすくなります。

次にメガネですが、よく見えるようにするメガネが何で? と思うかもしれません。高齢者は遠近両用のメガネを使うことが多いのですが、遠近両用が転倒の原因となります。遠近両用メガネはレンズの下を覗き込むと近くがよく見えて、上を見ると遠くがよく見えるようになっています。これは、読書などで近くを見る時は目線を落とすことが多いからです。

この設定が、階段を下りる際に困ります。高齢者は転倒を気にしていますから下をよく見て歩きますが、これから足を伸ばすもう一つ下の段は、遠近両用で近くにピントが合っているとぼやけますので、転びやすくなるのです。そこで顎を引いて下を見るという癖をつけましょう。それから高齢者は、暗い所を見るのが苦手です。

高齢者は若者より2倍の明るさが必要

20代ですと瞳孔の面積は15.9mm2程度ですが、70代になると6.1mm2と半分以下になります。そのため、2倍明るくないと見えないともいわれています。階段は暗くて影が多い場所ですから、高齢者は階段で転びやすくなります。

最近はオシャレになるという理由で、間接照明で一部だけを灯して全体的に暗くすることが増えているかもしれません。でも転倒のリスクを考えれば、電球を明るいものに変えたり、ライトを追加したりするほうがむしろいいです。夜間にトイレなどで行き来が多いのであれば、つけっぱなしにするのも一つです。電気代をケチって骨折するなんて、もったいない話ですから。

手すりをつけるのもお勧めです。手すり、階段、壁の全部にいえることですが、つるつるした素材よりはざらざらした摩擦力のある素材のほうが、滑りにくいのでよいです。滑り止めの色は階段が茶色なら白色というように、色に差があるほうがいいです。この滑り止めを頼りに、階段の上り下りをしてください。