過保護くらいでいい!
——ドラマにも登場して大きな反響を呼んだ「東大合格必勝法 家庭の10カ条」が、子育て世代に大変好評でした。三田さんはどんな思いで作ったのでしょうか?
これを作るときに気をつけたのは、「できそうもないことは書かない」ということです。こういう目標って、ついついハードルの高い「理想」を書いちゃうんですよ。でもそれでは習慣化できない。そして習慣化できなれば意味がないんです。家庭内でルールや目標を作るようなときには、「あまり頑張らなくてもできそうなこと」にすることがコツだと思って作りました。
「一緒に朝ご飯を食べる」の項目のテーマは、コミュニケーションです。会話をしてストレスのサインをキャッチすること。中高生になると親も子供も忙しいですから、会話する機会って意外とないんですね。いつの間にか「おはよう」も言わなくなってしまう。でも食事を一緒に取れば、何かしら会話が生まれますし、食べる量が減っていたり、口数がいつもより少なかったりといった子供の小さな変化に気づくことができるわけです。
サインに気がついたら、それを指摘するのではなく、さりげなくストレスを取り除くような働きかけをしてやるといいと思います。
「適度に運動させる」という項目のテーマは、体力をつけることです。実は勉強って体力が必要なんですよ。例えば、東大の試験は1科目120分前後あります。知力だけじゃ乗り切れないんです。小学生のお子さんがいるなら、日頃から体を動かすような習慣をつけさせるといいと思いますよ。スポーツの習い事をするのもいいことですし、週末だけでも運動させるのはとても有効です。
——『ドラゴン桜』では「子供を褒めること」の重要性も強調されています。褒めることは大切でしょうか?
子供は褒めるに越したことはありません。有名予備校講師の林修先生も、子供の頃、家族に「すごい! 天才だ!」と褒められたおかげで、勉強を好きになったと話しています。優しく愛情をたっぷり注ぐ。興味を持ったことは好きなようにやらせる。周りから「甘やかしている」と思われることもあるかもしれませんが、「褒める」と「甘やかす」の基準は人それぞれです。だから周りと比べて気にしても仕方ありません。漫画のセリフにもありますが、「過保護くらいでいい」んですよ。自分がかわいいと思ったら、かわいいかわいいって言ったほうがうまくいくと思うんです。
「人は必ず成長する」ということを覚えておいてください。今できないことがあっても、人は必ず変わります。今の自分がそのまま大きくなるなんてありえないわけです。3年後、5年後には、今は想像がつかない自分になっているかもしれません。そう思うと、いろんなことにチャレンジしたくなりますよ。