もともと学力の低い子供がなぜ東京大学に逆転合格できるのか。2度にわたりドラマ化されたマンガ『ドラゴン桜』の執筆を通じて、長年、教育に向き合ってきた三田紀房さんに、子供の学力を伸ばすための心構えと方法を聞いた――。

※本稿は、『プレジデントFamily2021秋号』の記事の一部を再編集したものです。

東京大学・赤門
写真=iStock.com/ranmaru_
※写真はイメージです

学歴はデータとしてネットに残る時代だ

——『ドラゴン桜』は、学力が低い子たちが「一発逆転」して合格をつかみ取る物語が描かれています。そもそも、どうしてこのようなテーマを扱うことにしたのでしょうか?

自分自身の経験が大きいですね。私自身がある意味、一発逆転の経験者なんですよ。子供時代は、自分が漫画家になるなんてまったく想像していませんでしたから。社会人になり、家業を継いだのですが、うまくいかなくなり、賞金のために漫画を描いて応募したら、運よく賞をいただいた。それから作品を描く機会をいただいて、漫画家になることができた。

だから、こういう「一発逆転」というのは特別なことではなくて、意外と誰にでも起こりうるんだということを、世の中の人にも知ってもらえたらと思ったんです。

漫画の反響を見ても、東大の価値は10年前や20年前より格段に上がっていると感じます。東大に限らず、「学歴の価値」というものが世界的に上がり続けています。近年はSNSの発達もあり、ネットで調べればその人の経歴がすぐに出てくるじゃないですか。学歴はデータとして残るので、その人の価値を測る重要な要素になるのです。だからこそ子供をいい学校に入れて、いい学歴をつけさせる重要性は、これからも増していくと思います。

一方で、教育格差の拡大は社会問題になっています。でも欧米に比べて日本の受験システムのいいところは、「一発逆転」できるところです。

特に国公立大学に関してはペーパーテスト一発勝負で合否が決まるため、平等です。東京から遠く離れた場所の子でも、所得が低い家庭の子でも、親が大卒でない子でも、誰でも逆転合格する可能性が十分にあるわけです。

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