ビターとホワイトのバランスを調整、カカオ感を立たせた

右肩上がりで成長してはいるものの、市場を見渡しても紗々のような独自性を貫く商品が少ないことから、「もっと高みを目指すのに必要なことは何か」と追求するようになったと原田さんは説明する。

「紗々は上品で情緒に寄っていた商品だったこともあり、『チョコレートとしてどんな食感や味わいが楽しめるのか』という点を、お客様へ伝えきれていないと思っていました。また、どうしても紗々のイメージを損ねたくないと、攻めた訴求もできておらず、新規層を獲得する足かせとなっていました。次の高みに行くためにも、紗々を知っているけれど、しばらく購入していない層の掘り起こしや話題喚起を行い、さらなる成長へ向けた布石を考えるようになったのです」

そして2021年9月、約17年ぶりに品質を大幅リニューアルし、紗々のおいしさを構成するビターとホワイトチョコレートのバランスを見直した。

「味を変えるレベルではなかったのですが、時代の変遷とともにお客様の嗜好も変わってきたので、そのニーズに応える必要性がありました。特に近年流行している高級チョコレート専門店のチョコレートは、甘さよりもカカオの濃厚さに高級感を見いだしています。そこに着目し、紗々の特徴だった甘さが後を引く味わいから、ビターとホワイトのバランスを調整しました。さらにカカオ感をたたせ、ほろ苦い大人な味わいに仕立てたことで、紗々の新たな魅力を引き出せるのではと考え、品質リニューアルに至ったのです」

他社とのコラボで認知拡大を強化

さらに消費者との接点を増やすため、商品を通じてだけではなく、他社とのコラボによってブランド認知を高める取り組みも行っているという。

銀座コージーコーナーとのコラボで発売した「紗々ミルクレープ」(限定店舗にて10月14日まで販売していた)(画像提供=ロッテ)

「今年8月にはアパレルのBEAMSとコラボし、紗々の編目のデザインをあしらったビーチタオルを販売しました。また、約17年ぶりの品質リニューアルに合わせて、洋菓子メーカーの銀座コージーコーナーとコラボした『紗々ミルクレープ』を全国の銀座コージーコーナーで販売したのですが、売り切れが続出するなど大きな反響をいただきました。おかげで、『ミルクレープをきっかけに、久しぶりに紗々のチョコレートを購入した』という声も多く頂戴し、紗々を自分事化するお客様が増えたと実感しています。これまで他社とのコラボはあまり実施してこなかったのですが、今後は紗々の認知度拡大やブランドとの接点を作るためにも、いろいろと企画していければと考えています」

画像提供=ロッテ
約17年ぶりに品質リニューアル発売した紗々。写真上から「紗々」、「紗々<芳醇いちご>」