こんなに頑張らないといけない社会を変えたい
ITベンチャー企業で広報を担当した。年度の途中だったこともあって、2人の子どもは別々の保育園に通うことになった。1人を預けたあと電車に乗ってもう1つの認可外の保育園へ行ってから出社する。帰りも同じ。
「こんなに頑張らないと子育てしながら働き続けることは難しいんだとわかる一方、でもそれは何か違うなと強く感じました。私はそこまでして自分で環境を整えて働き始めたけど、普通はあきらめてしまうのではないか」
政治の道に進む入り口は、小池百合子都知事が立ち上げた「希望の塾」だった。2016年7月の都知事選で大旋風を巻き起こした小池氏の政経塾は、3700人を超える参加希望者が詰めかけた。森澤さんもその1人だ。当時は、女性キャリア支援の「リブ」で法人営業を担当していたが、入塾のことは会社では話さなかった。
「この頃はまだ都議に立候補すると決めていませんでした。小池知事の政経塾っておもしろそうだなと、いつもの好奇心から動いた感じです。元は政治部記者でも、選挙活動や政治活動は未知の世界でしたから」
「希望の塾」で政治について学ぶうちに、「政策決定の場に子育て世代や女性の声が反映されていないのではないか。女性の政治家が少ないなら、まず私自身がやってみよう」と都議選に立候補する決意は固まっていった。夫も反対しなかった。社長に相談すると、立候補休職としてくれた。
現在の政治への失望と新しい政治への期待
古い議会を新しくというキャッチフレーズのもと、小池氏の顔で戦った一度目の選挙戦のときも「新しい政治」への人々の期待を感じた。今年は「無所属だからできる新しい政治」への期待と「女性に頑張ってほしい」というメッセージを受け取ったという。
「現在の政治への失望票と言ってもいいかもしれません。コロナ禍での働き方にしても森発言問題にしても、このままではいけない、声をあげなきゃというところから、政治への関心が少しずつ熱を帯びているように感じます」
自身の経験から、女性の再就職支援や男性の育休について取得しやすい雰囲気が必要などと訴え続けてきた森澤さん。今後は教育や就労におけるダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)にも力を入れていきたいと語る。