「S&P500投資」で成果を出すには辛抱強さも必要
S&P500に連動する商品に投資する場合には、注意してほしいことがあります。長期でみれば右肩上がりで上昇していますが、横ばいの時期もあるのです。2013年以降は力強い上昇が続き、何度も最高値を更新しているので見逃してしまいがちですが、過去には低迷していた時期もあります。
図表3は1982年から直近までのS&P500の動きを示したものですが、2000年から13年の間は上がったり下がったりを繰り返し上昇していません。この間に投資をしていれば、ほとんどリターンが得られなかったことになります。同じように1970年代も低迷しています。
もしかしたら、低迷する時期を今後経験するかもしれないことをよく理解したうえで投資をすることが大切です。それを理解していれば、低迷している時期でも我慢して次の上昇を待つことができます。
その心構えができていないと、S&P500が低迷したときに売却して、すでに高くなっている国の株価に連動する商品を買ってしまいかねません。安値売りの高値買いになって、結局損をしてしまいます。
過去の超長期リターンをみれば、米国株式のリターンが全世界株式のリターンを上回る結果となっています。しかし、人によって投資期間が異なります。たまたま米国株式市場が低迷している20年間に米国株式に投資をしてしまうと、全世界株式よりも低いリターンになることもあります。
それを回避するには、保険として全世界株式に連動する商品を中心に運用するのがよいでしょう。
S&P500に投資している人がいま売ると損をする理由とは
今後のS&P500の動きを考えると、米国政府の金融引き締めで一時的に株価が下落する可能性があります。「そのときにいったん売却した方がいいのか?」と考える人もいるでしょう。
しかし、いつ下がるか、どのくらい下がるかを判断するのは簡単ではありません。また、売却すると利益の約20%は税金として徴収されてしまいます。いったん売却して再投資の時期を狙ったとしても、保有し続けるよりも高いリターンを狙うのは至難の業です。私は市場に出たり入ったりするより、“いつづける”ほうが結果的に高いリターンが得られると考えています。
S&P500への投資は著名な投資家であるウォーレン・バフェットも勧めている投資法で「ほとんどの投資家はS&P500インデックスファンドを信頼したほうがいい」とアドバイスしています。米国株投資を考えるうえでこの基本は今後も変わらないでしょう。