若年層の加入率が下がっている
──安心できる保障システムを、具体的にはどう実現していくのでしょうか。
多様化するマーケットへの対応が鍵になるでしょう。少子高齢化で、シニアのマーケットはこれから大きく拡大していきます。また女性が活躍する時代に入り、女性特有の疾病について不安を感じている方も増えています。さらに、若年層の保険加入率が下がっていて、将来何かあったときに何も保障がないという人が増える懸念もあります。このように多様化していくニーズに対し、死亡保障や医療保障、介護や年金などの各分野において、我々が努力できることがいろいろとあるはずなのです。
マーケットに対しては各社がそれぞれの戦略やビジョンに基づいて取り組んでいきますが、協会としても、各社の戦略を集約して後押ししていく形で提言をしていきます。たとえば税制面でいうと、自公連立政権時代に講じられた生命保険料控除の拡充が12年からスタートする予定です。私的保障の充実のためには、これを予定どおりやってもらう必要がある。こういったことも業界としてはっきり主張していかなくてはなりません。
──今、国際会計基準(IFRS)の強制適用が議論されています。
国際会計基準審議会で議論されているような、時価会計をベースとした基準が適用されると、生命保険会社の経営そのものがボラタイル(不安定)になっていくでしょう。
取り扱う商品の性質上、本来、生命保険会社というものは長きを見て経営をしていく必要がありますが、時価会計では、金利のわずかな変動が会社の業績を大きく膨らませたり、減らしてしまうこともある。そうすると、正しい評価がマーケットやお客様から得られなくなる恐れもあります。そのことが、短期の業績さえよく見せればいい、というように生命保険会社の経営スタンスに影響を与えかねない。それがはたしてご契約者の利益になるのかというと疑問です。
国際会計基準の議論も、ここに来て必ずしも一枚岩というわけではないようです。今回、グローバルで財政問題が大きくなってきていることを受けて、金融担当大臣が強制適用の先送りを表明しましたが、これは非常に妥当な判断と言えるでしょう。この問題に関しては、引き続き慎重に議論をしていかなければいけないと思っております。