「高かろう悪かろう」の検診もある

「量」で検査の「質」を担保しようとするのが「メガ盛り」だとすると、「お金」で「質」を担保しようとするのが高額な人間ドックでしょう。

知り合いのフリー編集者の男性は、ここ10年ほどずっと人間ドックに通っているそうです。毎年1回ベーシックなコースで4万円ほどかかるそうで、50歳になってからは前立腺がんのPSA検査、脳ドックなどオプションも増え、かなりの金額に膨れ上がりました。

さて、日本の検診受診率が低い理由として「忙しい」「身体の調子がよい」とかいわれていますが、それを確かめるため「検診を受けたことがない人」数名にインタビューをおこないました。

中山富雄『知らないと怖いがん検診の真実』(青春新書)

皆さんいろいろな理由をおっしゃいます。

「時間がない」
「検診の通知に気づかなかった」
「日程の都合がつかなかった」

でも、なんとなく理由として弱い。あれこれ質問を変えながら一時間ほどみっちり何十人もの患者さんとインタビューを重ねてわかったのは「たいした理由はない」ということでした。

その話をしたところ、オチに大笑いしていた編集者ですが、ふと「じゃあ自分はなぜ高額な人間ドックを受けているのか」と疑問を口にします。

検診日時や病院を決められる、待ち時間が少なくゆったりしている。いくつか理由を挙げますが、どれも「4万円」の価値としては弱い気がすると言うのです。

うんうん考えた結果、彼が出した結論がなんだと思います?

「お布施なのかも」
「どういうことですか?」
「これだけ高額なら、きっと検査精度も高いはずと信じられるから……。御利益がありそうというか」

身銭を切る――それもそこそこの金額――ことですっかり安心しきっていたというわけです。

医者のすべてが経験豊富で技術に優れているとは限りません。医者との相性はわかっても、能力を見極めることは同業でない限り難しいでしょう。

「安かろう悪かろう」といいますが、「高かろう悪かろう」もまたあるのです。

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