プリンスブランドが乱立している

現在、プリンスホテルは、最高峰「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」を頂点に、「ザ・プリンス」「グランドプリンスホテル」「プリンスホテル」「プリンススマートイン」などのブランドを展開している。

プリンスホテルのフラッグシップである「ザ・プリンス」には、「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」で売却候補として挙げられている、地上33階、673室の客室と17の宴会場に多彩なレストラン、会員制スパ&フィットネスを設備し、芝公園や東京タワーを望む「ザ・プリンスパークタワー東京」のほか、「ザ・プリンスさくらタワー東京」「ザ・プリンス箱根芦ノ湖」「ザ・プリンス軽井沢、ザ・プリンスヴィラ軽井沢」「ザ・プリンス京都宝ヶ池」の6施設がある。

「グランドプリンスホテル」は、「グランドプリンスホテル高輪」「グランドプリンスホテル新高輪」「グランドプリンスホテル広島」の3施設になる。正直、これら上位3カテゴリーのブランド構成や違いはよく分からない印象だ。

そして、スタンダードな「プリンスホテル」には、2020年9月に運営受託方式(MC)により開業した「東京ベイ潮見プリンスホテル」をはじめ、東京には、「東京プリンスホテル」「品川プリンスホテル」「新宿プリンスホテル」「サンシャインシティプリンスホテル」がある。「軽井沢プリンスホテルイースト」「軽井沢プリンスホテルウエスト」などもこれに含まれ、日本全国に30施設を誇る。

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採算性が悪く、ブランド力も定まらない

4カテゴリー合わせて40施設となり、筆者は、このなかから、10施設前後が売却対象になるとみている。プリンスホテルの戦略では、2大主要拠点といえる品川・高輪エリアと軽井沢エリア、中国など海外での投資開発、次世代型宿泊特化型ホテル「プリンススマートイン」の展開などに比べ、その他のエリアの優先順位はそこまで高くはないということだ。

なお、「プリンススマートイン」は、「泊まる」に特化した機能性と利便性を追求したホテルとして、2020年10月に恵比寿に開業。熱海、京都四条大宮にも進出している。

その他のホテル・旅館として、ゴルフコースが名高い「川奈ホテル」、京都に誕生したラグジュアリーホテル「ザ・ホテル青龍 京都清水」など国内8施設がある。また、海外を中心にグループホテルも多数抱えている。

このように、プリンスホテルといってもブランドが多数混在し、統一感なくバラバラの印象だ。最高級ホテルから低価格帯、シティホテルからリゾートホテルまでそろう全方位的なラインナップは、壮観ではあるが、経営資源が分散して、採算性が悪くなるだけでなく、ブランド力も定まらない。

「コロナやインバウンドは言い訳」にすぎず、ブランドが乱立し、顧客離反を招いたプリンスホテルが売却に至ったのは必然だったのかもしれない。