日本からも、もっと女性宇宙飛行士を

日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)も、今秋13年ぶりに宇宙飛行士を募集する。日本政府は、アルテミス計画への参加を決めており、JAXAとしても、今回の募集で選抜される宇宙飛行士を月に送りたいと考えているそうだ。多様性を重視するアルテミス計画の精神にのっとり、多様な人材を募集しようと、応募条件も、これまで理系の大卒以上などとしていた条件をなくし、文系に門戸を開くことを検討している。

JAXAの宇宙飛行士募集の取りまとめを行っている、有人宇宙技術部門事業推進部の川崎一義部長も、女性の割合を増やすことについて、「まさにそこがホットなポイントで、今議論しているところだ」という。前回、JAXAが宇宙飛行士を募集した時は1000人弱の応募があったが、応募者の比率は9対1で圧倒的に男性が多かった。今回は、せめて女性の応募者をヨーロッパやアメリカ並みの全体の3~4割まで引き上げたいという。

背景にはジェンダーバイアス

川崎さんは、女性の応募が少ない背景には、ジェンダーに関わるさまざまなバイアスがあるのではないかと見ている。子どものころ女の子が「宇宙飛行士になりたい」と言っても、親や周りの大人が「無理だ」と諦めさせてしまったりすることがある。また、「女性は理系科目が苦手」という先入観などもあって、そもそもこれまで応募の条件となっていた理系学部の女性比率は低い。川崎さんは、今回の募集を通じ、こうした日本社会の状況も変えていきたいと語る。

JAXAは、今後5年に1度のペースで宇宙飛行士を募集していくことにしているため、今回だけではなく、「5年後、10年後に向けて、たくさんの女性に応募してもらうためのキャンペーンを行っていきたい」という。

では、どんな資質が宇宙飛行士に求められるのだろうか。

JAXAによると、最低限のSTEM(科学・技術・工学・数学)の理解力は求めるが、ミッションに応じ地質学やその他の知識が必要になる可能性もあるため、訓練期間に新しい能力や知識が習得できるかどうかが重要になるという。また、「月での経験や感動を世界中の人々と共有する発信力がある」ことも重視しているそうだ。募集要項は、現在、多くの人からのコメントももらいつつ議論中だが、今年の秋には発表になる。