「Amazon Pay」は、アマゾンのeコマースサイトでクレジットカード決済を提供するサービスで、他社のeコマースにもサービスを提供して手数料を稼いでいる。一方、「Alexa」は、AI(人工知能)を活用した音声アシスタントサービスだ。

この組織改正から透けて見えるのは、両者を融合した新たなビジネスに、内製化した銀行口座で即時決済するサービスがセットされる姿が浮かぶ。

「楽天は銀行を作れるが、銀行は楽天を作れない」

しかし、こうしたアマゾンの新規プロジェクトはすぐさま「アマゾン銀行」に発展するかは微妙だ。米国では1999年の法改正で銀行と証券の融合が解禁された際、連邦法では異業種による銀行免許の取得が認められなくなったためだ。

「米国では大手米銀が、潤沢な資金を投じて強力なロビー活動を展開しており、異業種が銀行に参入する壁は日本の比でないほど高い」(メガバンク幹部)とされる。

それとは対照的に、日本の金融界ではノンバンクによる銀行業務への参入障壁は低い。先のソニー銀行はじめ楽天銀行、セブン銀行など多様な業界から銀行進出が相次いでいる。

迎え撃つ既存金融機関からは、「楽天は楽天銀行を作れるが、銀行は楽天を作れない」(メガバンク)と法的規制に対する怨嗟の声が聞こえるほどだ。

そうした中、米国投資銀行の雄、ゴールドマン・サックスが日本で銀行業の免許を取得した。

外資が続々と日本に参入してきている

ゴールドマン・サックス傘下の米銀行が7月7日、金融庁から日本で営業するための免許を取得した。欧米のグローバル企業の資金管理・決済業務に参入し、日本を含めた世界で事業基盤を整えた。

ゴールドマンは法人向けに資金管理や決済サービスを提供する「トランザクションバンキング」事業を2020年に立ち上げ、成長戦略の柱に据えている。すでに米国内250社の顧客を獲得しており、来年6月から英国でも営業を始める。

注目すべきは、資金管理業務のためにネット上でサービスを利用できるクラウド基盤システムを構築したことだ。120種類以上の通貨で国内外への支払いが可能で、即時に支払い状況を確認できる。具体的動きとしては、ゴールドマン・サックス・バンクUSAが東京支店を9月に営業を始める予定だ。