涙は粘液成分や油の層からなっている

Q もう1つの「涙の質が変わる」ってどういうことですか?

A 涙は単なる液体ではなく、ヤマイモやオクラのネバネバと同じような粘液成分や油の層からなっています。この構造が変わると、目の表面に涙がとどまりづらくなり、目の表面をおおう涙の膜にムラができて、目が乾きやすくなるんです。

Q たまに「結膜炎」になって目がショボショボしてしまうのですが、何かに感染してなるんでしょうか。

A 慢性の「アレルギー性結膜炎」の原因の多くは、ホコリやダニなどのハウスダスト、もしくはコンタクトレンズの汚れです。特に「2週間連続装用」のコンタクトレンズを使うと、どうしても汚れがレンズに残ってアレルゲン(アレルギーの原因物質)となりやすいです。

目薬をたくさんさしても目は潤わない

Q 目薬をたくさんさせば、目は潤うのではないですか。

A よかれと思って1日に10回も20回も目薬をさしている人がいますけれど、そうすると、ただでさえ少ない涙が洗い流されてしまいます。そして「目の表面をおおって乾燥を防ぐ」という涙本来の役目を果たせなくなるんです。

梶原一人『ハーバード×スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25』(ダイヤモンド社)

涙には、目の表面の細胞に酸素や栄養を送ったり、殺菌作用を持つ成分が微生物の侵入や細菌の感染を防いだりする大切な役割があります。だから、目薬で涙が洗い流されてしまうと、目の機能を正常に維持できなくなってしまいます。また、市販の目薬には防腐剤などが多く含まれており、目の表面のアレルギー反応や障害の原因にもなり得ますから、目薬の使いすぎは逆効果になるんです。

Q では、「目が乾く」と感じたらどうすればいいのでしょう。

A まずは、市販の防腐剤が入っていない、涙の性質に近い「涙液型」の目薬を定められた回数で試してみましょう。目薬で改善すれば、原因は単純に涙の量が少ないことだとわかるでしょう。目薬で改善しない場合は、涙の質のほうが原因であるか、慢性のアレルギー性結膜炎の可能性があります。この場合は、眼科を受診するべきです。また、慢性のアレルギー性結膜炎を予防するためには、コンタクトレンズは1日で使い捨てる「ワンデータイプ」がいいです。ハウスダスト対策にもなります。いくら丁寧に洗ったつもりでも、2週間連続装用などでは汚れが残りやすくなるからです。

目が乾いたら
・涙の性質に近く防腐剤の入っていない目薬を試してみる(用法と用量を守って使いすぎないように)。
・慢性のアレルギー性結膜炎を予防するため、コンタクトレンズを使用するならワンデータイプにする。
*目薬を使っても乾きが治まらなければ眼科を受診
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