太りやすい体質になる「ヨーヨーダイエット」

ダイエットすると太る理由にはもう一つ、「太りやすい体質になる」ことがあります。やせようとしてもやせられなくなるどころか、かえって太ってしまうのですが、このような状態を招くのが「ヨーヨーダイエット」です。ヨーヨーダイエットとは、ヨーヨーのようにダイエットとリバウンドの間を行ったり来たりすることを言い、これを繰り返すと太りやすい体質になることが、30年以上も前から指摘されています。

実際に動物実験では、ダイエットを繰り返すとエネルギーを体に溜める能力が向上して、少しの食物で体重が増えるようになることがわかっています。考えてみればそれは当然で、ダイエットとは飢餓状態ですから、飢餓状態を何度も経験すればするほど、飢餓に強い体、すなわちエネルギーを溜め込みやすい体になるのです。

では、エネルギーを溜め込みやすい体とは、いったいどのような状態を指すのでしょうか? そもそも、エネルギーを溜め込むとは、どういうことでしょうか。これには「代謝」が関わっています。

「代謝」にはいろいろな種類がある

代謝とは、私たちの体内で起こる化学反応と、それに伴うエネルギー変換のことで、代謝の過程を物質の面から見たのが「物質代謝」、エネルギーの面から見たのが「エネルギー代謝」です。

物質代謝には、物質をより単純な物質に分解してエネルギーを得る「異化」と、エネルギーを使って単純な物質からより複雑な物質を作る「同化」があります。

エネルギー代謝には、「基礎代謝量」「食事による熱産生効果」「非運動性活動熱産生」「運動による熱産生効果」の4種類があります(図表1)。

「基礎代謝量」とは、体温維持や血液循環、呼吸、排泄、脳・神経活動などの、生命維持に最低限必要なエネルギー量を指します。

「食事による熱産生効果」は、食事をしたことで消費するエネルギー量です。噛むことや消化吸収にエネルギーが必要なことに加え、栄養素が吸収・分解される過程で、その一部が体熱となるためにエネルギーを消費します。食事をすると体が温かくなるのは、このためです。基礎代謝と食事による熱産生効果を足したものが、「安静時エネルギー消費量」です。

ちなみに、よく噛まずに飲み込むよりも、よく噛んで食べた方が、食事による熱産生効果が高くなるといわれています。