「誰かにお金を借りる」は未来の自由を縛る行為

この記事を読んでいるあなたも、心当たりがありませんか? 「起業」に興味を持つくらいですから、きっと「誰にもうるさいことを言われず、社会で活躍できる場所」を欲しているはずです。もしそうであれば、金融機関から資金を借りるのは最悪の選択です。

そもそも「誰かにお金を借りる」というのは、それを返す将来の自分自身から借りるようなもので、自分の未来の自由を縛る行為です(奨学金を借りたことがあれば、よくわかると思います)。

おまけに事業が成功しようがしまいがお構いなしに利息をとられる約束で、そのための審査だといって事業計画だの資金計画だのをいちいち細かく説明させられる。実にバカバカしいと思いませんか?

もっと言えば「絶対逃れられない確定申告の事務作業さえ面倒なのに、融資を受けるために役所で資料をそろえて頭を下げに行くなんて、せっかくゆるくはじめられるしょぼい起業を選んだ意味がない」というのが、私の正直な思いです。

チャンスを逃すまいと手を広げると失敗する

もちろん苦にならなければ、説得材料をしっかりそろえ、収益見通しも立てた上で融資なり投資なりを受ける、ある意味「ちゃんとした起業」をしても構わないと思います。しかしそれでも、しょぼい起業の価値を信じる私から、これだけは伝えたいです。

「たとえチャンスが目の前にあっても、いきなり手を広げすぎるな」と。

具体例を挙げましょう。例えばあなたが、COVID‐19(新型コロナウイルス感染症)の流行前から輸入グッズのECサイトを出店していて、たまたま不織布マスクの調達にツテがあったとします。

メディアが連日「ドラッグストアは長蛇の列」などと騒ぎ立てていましたから、きっと手に入るうちに、なるべく多くの商品を押さえたくなったはずです。

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もし当時「次の売上が入金される2カ月後まで、まとまった資金がない」状況だったなら、千載一遇のチャンスを逃すまいと、入金で返せるギリギリまで借り入れて仕入れようとしたかもしれません。

しかしご存じのとおり、2カ月ほどで約10倍まで急騰したマスク相場は、ほぼ同じ期間で品不足が解消したことによって、元値まで一気に戻る大暴落。不良在庫と化したマスクの山は、箱単位で投げ売りされるようになりました。降って湧いたチャンスがいつまで続くかなど、誰にもわからないのです。