服を脱ぎだしコンパニオンに“おさわり”

私も何度か「嵐の宴会」に遭遇している。

梅村達『派遣添乗員ヘトヘト日記』(三五館シンシャ)

ある消防署の慰安旅行のこと。極めつけの“男の世界”ゆえか、出発地でバスに乗ったとたん、盛大な酒盛りが始まった。新人は一気飲みをさせられるなど、それはアブナイ車中となった。

本来の予定は2つの観光スポットに立ち寄ってから温泉旅館に入るというコースであった。しかし、早々にデキあがった幹事は「旅館に直行!」と私に命じた。

バスは観光スポットをすっ飛ばして旅館へと向かった。午後2時前に旅館に到着。一行はおのおのの部屋で呑み続けていたらしい。日が暮れ、いよいよお待ちかねの宴会がスタートする。

乾杯の音頭のあと、すでに完璧にデキあがっていた彼らは諸肌ぬいでの大盛り上がりとなった。そこへコンパニオンが登場。座はいよいよ最高潮に達する。酔った勢いでコンパニオンにおさわりする人が出てくる。

驚いたことに率先してやっているのが年輩の幹部たちであった。さすがにお姉さんたちは慣れたものだった。酔っぱらいの痴態に動ずるふうもなく、「ひと揉み千円いただきます」などと言っていた。翌日、疲れたのか一行はとても静かであった。

大きな声では言いづらいが、前夜の宴会終了後、幹部の一人が「添乗員さん、女を買いたいんだけど案内してくれない?」と直截に尋ねてきた。しかし、その分野は添乗員の業務の範疇外である。旅館の担当者に話をつないだ。その後、彼らは数人で夜の街にタクシーで繰り出していった。

そして、アルコールの抜けきった“男の世界”はさっぱりしていて、それはそれは良い人ばかりなのであった。

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