※本稿は、三宅香帆『妄想とツッコミでよむ万葉集』(だいわ文庫)の一部を再編集したものです。

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飲む人と飲まない人の大きな分断

大伴旅人 作
あな醜賢しらをすと
酒飲まぬ人をよく見ば
猿にかも似る
(『萬葉集』巻三・三四四)
現代語訳
あほかいな、賢いフリして
酒飲まん人を見ると、
猿に似てると思うで

お酒を飲む人と、飲まない人。

今も昔もそこには大きな大きな分断があり、「え、そんなに?」とちょっと苦笑しておののいてしまいそうな溝が広がっている。

飲み会でわーきゃーと楽しそうに騒いでいる人を横目で見ては、お酒を飲む人なんてバカみたい、と思う人がいる。

反対に、飲み会でまったくお酒を飲まない人を横目で見ては、あほらし、なんで飲まないほうが賢いみたいなポーズをとるんだ、と思う人もいるだろう。

そう、この歌みたいに。