祖母介護のストレスを母には言えず、SNSに愚痴を吐き出した

緊急事態宣言の発令以降、大学はオンライン中心に。祖母のデイサービス先もショートステイ先も閉鎖になり、ほぼ一日中、祖母がいる自宅で過ごす。母親は保育士としてフルタイムで働きに出ている。祖母の介護によるストレスが1人で抱えきれなくなっていた湖西さんは、SNSに愚痴を吐き出し、ストレスを発散させるようになった。

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SNSに愚痴の破棄場所を見いだした湖西さんは、気持ちが楽になるのを感じた。一方で、SNS上で他の人の介護の状況を知ると、「うちの祖母はまだマシかな」と思うと同時に、「うちの祖母もああなってしまうのかな」というとてつもない恐怖感に襲われた。

「祖母の介護が始まった当初は、愛情や優しさを持って介護しようと努めていました。しかし、愛情や優しさを持って介護すればするほど、祖母から暴言を吐かれたときにダメージが大きくなることに気がついてからは、できるだけ無の感情で介護をすることを心がけるようになりました。睡眠時間も自分の時間も削られて、介護家族は疲弊しています。認知症の祖母は、相手が身内だろうが他人だろうが暴言を吐き、どんなに尽くしても、『介護してくれてありがとう』の一言もありません。正直、『もう早く死んでくれ』と思っていました……」

湖西さんの疲労とストレスはピークに達していた。

家庭崩壊の足音

湖西さんと母親は、祖母の介護が本格的になる以前は良好な関係だったというが、最近はそうではなくなっていた。

ある日、湖西さんがアルバイトから帰宅すると、帰りが少し遅くなったことを母親に咎められる。

「母は、ちょっと過保護なところがあって、私の行動をすべて把握しておきたいみたいなんです。バイトや友だちと出かけるとき、何時に誰とどこへ行って何時に帰ってくるか、全部知っていないと気が済まないようで、何も言わずに出かけるとスマホに着信が何十回と入ります。その時の気分で機嫌が悪くなるので、高校生の時は母の顔色ばかり伺っていました。私が寝ている間に私の部屋に入って、私が自分で買った本やモノを『あんたなんかには必要ない』と言って平気で捨てられたこともありました」

おそらく母親自身、相当ストレスが溜まっていたのだろう。このときも、帰りが少し遅くなったため、執拗に責められた。

「まるで自分だけが犠牲を払ってるみたいに言われると、正直、『ふざけないでくれ』と思います。母1人で介護をしているわけではありません。親だからって言っていいことと悪いことがあると思いました」

湖西さんは、息子として孫として、10代の頃から十分すぎるほど母親と祖母をサポートしてきた。ましてや、湖西さんは母親に対して、一度も介護の不満や愚痴をこぼしたことがないという。

「母は、高齢でしかも認知症の祖母相手にいちいちカッとなるので、大人げないなあと思ってしまいます。介護の仕方ひとつとっても、母と私は衝突することが増えました。母は時間がないから何でもかんでもやってあげてしまうのですが、私は少しでも祖母が自分でできることは自分でさせてあげようと考えて、見守ろうとするのです」