尿アルブミン検査をしよう

それでは、腎臓の状態を確かめるためにどうしたらいいのか。病院で受けられる尿検査で、あなたが思う以上にいろいろなことがわかります。

あなたが受けている健康診断でも、尿検査は行っていると思います。ただ、そこで調べられるのは、尿の中に「血液」「タンパク」「糖」が出ているか否かであって、本当に大事な「尿アルブミン値」を測ることはまずしていないでしょう。

では、そもそも「アルブミン」と「タンパク」の関係はどうなっているのでしょうか。いったい、どう違うのでしょうか。

実は、アルブミンもタンパク質の一種で、肝臓でつくられています。血液中のタンパク質の60~70%をアルブミンが占めています。ただ、健康な人の尿にはほとんど含まれず、日本腎臓学会の示す正常値は「30(mg/gCr)未満」です(検査機関によって正常値は少し変わります)。

ところが、腎臓の濾過ろか機能が落ちてくると、アルブミンが尿に漏れ出てきます。そのため、尿中のアルブミン量を調べることで腎機能が正確にわかるのです。

一方で、血液中にはアルブミン以外のタンパクも存在していて、それらも腎機能が落ちれば尿中に出てきます。あなたが健康診断で受けている尿検査では、その尿に含まれるタンパクの程度によって、ごく大雑把おおざっぱに腎臓の障害の有無を見ているにすぎません。

尿タンパク検査は大雑把であてにならない

検査結果は、漏れ出ているタンパクの量によって「-」「±」「+」「++(2+)」などと表示されます。

もし、この検査で「尿にタンパクが出ている(+)」と指摘され、それが腎機能の低下によるものなら(激しい運動や発熱でも尿にタンパクが出ることがあります)、そのときはすでに尿アルブミン値は300を超えています。つまり、尿タンパクが陽性(+)になったときはかなり腎臓が悪くなっています

ですから、尿タンパク検査は「早期発見に適している」とはとてもいえません。それでも、血清クレアチニンに頼るよりはマシです。血清クレアチニンと比べ、それでもまだ、尿タンパクのほうが早期に発見できるからです。

かつて糖尿病専門医の間では、「尿アルブミン値300」は透析を免れない「ポイント・オブ・ノーリターン」と呼ばれていました。現在では、この段階でもなんとか治療できます。しかし、「++(2+)」だと、2年で人工透析になるケースもあります。

尿に漏れ出たタンパクを見る一般的な尿検査では、慢性腎臓病を早期に見つけるには大雑把すぎてあまり役に立たないということです。

「健康診断の尿検査でタンパクが出ていないから安心だ」と判断するのは早計。何度でも述べますが、尿検査ではアルブミン値を測るのがベストです。

その前にもし尿タンパクが陽性(+)になったら、すぐに腎臓専門医を受診し、腎臓病の治療に入ることが大切です。この段階であれば、適切な治療を受ければ治すことができますから。

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