“神業”というべき腎臓の浄化システム
体内では、さまざまな有害物質が絶えず発生しています。もともと老廃物や毒素は、食事を摂らずとも呼吸しているだけで生成されますが、腎臓はそれら不要物だけを尿の中に捨てるという神業的な作業を行います。
とくに、体の中にある大量のタンパク質は絶えず新しいものにつくりかえられており、古くなったタンパク質は分解され、尿素という物質になって腎臓から排泄されます。腎臓が悪くなると、この尿素が出せなくなり、溜まってしまう「尿毒症」という状態に陥ります。尿毒症になれば、体中に毒素が回り命を落とします。
このように、腎臓とは私たちの命を根幹から支える臓器であり、素晴らしい浄化システムとして、壊してはならないものなのです。
尿を見るだけで健康状態はすべてわかる
腎臓がつくる尿からは、いろいろな体のサインが読み取れます。
糖尿病が進行すると、血液中にブドウ糖が溢れるだけでなく、尿にも出てきます。塩分を摂りすぎれば、やはり尿に出てきます。
野菜にたくさん含まれるカリウムも、増えすぎて「高カリウム血症」という状態になれば不整脈を起こして命に関わりますから、腎臓が調節して尿に出しています。
アリナミンなどビタミンB剤を多く摂ったときには、少し黄色みが強い尿になって独特の匂いがしますね。これも、過剰な分を腎臓が尿に出しているからです。
このように、腎臓は体の中でいろいろな成分がほどよく存在するように調整し、多すぎるものを尿に出しています。私たちの尿には、腎臓の素晴らしい働きが集約されているのですが、あまりにも当たり前に毎日、何回も排泄しているために、そのありがたみに気づきません。