麻雀の牌は1秒で打て

私が主催している雀鬼会では、麻雀を打つ際の決め事がいくつかある。牌を「1秒で打つ」というのもそのうちのひとつである。

麻雀を打つ人を見ていると、牌を持ったまま考え込み、なかなか打たないということがよくある。

私は、「考えるな、感じろ」という感性を重視した麻雀を教えている。そこから「1秒ルール」ができた。

1秒で打つためには、考え込んだり、悩んだりしている暇はない。余分な思考が入らなければ、シンプルで直感に近い感性だけが存在する。

考え込んだ末の答えは、考えた分量だけ、より正解に近くなるかといえば、けっしてそうではない。むしろ、その逆になることのほうが多い。

パッと浮かんだひらめきのようなもののほうが正解に近いところへと導いてくれることを私は経験として知っている。だからこそ、道場生たちにもそうした姿勢を求めている。

考えれば迷うだけ

考えれば迷う。考えれば複雑になってより正解から遠のく。それゆえ、私の麻雀はシンプルさをひたすら追求する。

1秒で素早く牌を切るには、牌を打つ動作にも無駄があったらダメだ。牌をぎゅっと力を込めて持ち、肩を上げて気合を込めて打つなどというモーションは最悪だ。無駄な力があちこちに入った動作から美しい麻雀は生まれない。

本当に強い麻雀は、速くて美しいものなのである。

あれこれ考え、へたにテクニックに走れば、無駄な動きが増え、スピードが落ち、相手に付け込まれる隙が生じる。

テクニックはもちろんいろいろとあっていいが、テクニックに頼りすぎると小手先の攻撃になりがちだ。強い攻めとは、小手先のテクニックではなく、全身を使ってシンプルに向かっていくものにほかならない。

考えるより感じる。そして勝負はシンプルに。これは、仕事であれ人生であれ、人が生きるうえで接するすべてのことに当てはまる、ひとつの真理だと思う。