ツキは「円」を描いている
麻雀、トランプ、パチンコ……ゲームと呼ばれるものには、必ずツキや運の流れがある。流れがこちらに来ているなというときもあれば、どうもツキに見放されているなというときもある。こうした“波”が繰り返し訪れる。
ゲームにおいて「ツキがなくなった」と感じたとき、心理的にツキを取り戻そうと余計な考えを巡らせたり、必要のない動きを取ったりしがちだ。しかし、そのような思考や行動はさらにツキを遠ざける結果を招くだけでしかない。
私はツキがなくなったときこそ、大きな手を狙ったりせず、基本動作、基本の心構えを見失わないように気をつけている。牌は持つのではなく柔らかく触れる。1秒で打つ。自分のことだけでなく、「いい場」をつくることを第一に意識してプレーをする……。
基本動作や心構えはいろいろあるが、それと同時に「円感覚」も持つようにしている。
ツキや調子の流れは来たり遠ざかったり、上がったり下がったりしながら円を描いているものだ。調子の波が少し下がってきたときは、その円の感覚を瞬間的に意識するといい。
ちょっとした調子の崩れは30分で戻せる
基本を忠実に守り、慌てず焦らず自分を見失わなければ、ツキや調子のいい流れはやがて戻ってくる。
ちょっとした調子のかげりがあれば、だいたい30分で元に戻すことができる。「ツキがなくなってきたな」と感じても、けっして慌てることはない。
基本動作や心構えの大切さは、ゲームに限った話ではなく、仕事や人間関係など、世の中のさまざまなことに通じる。
基本動作というと易しくできるものと思われるかもしれないが、雀鬼会でも基本動作をきちんとできる者は実は少ない。
たとえば牌を打つ動作ひとつにしても、完全な打ち方というのは難しい。無駄のない、柔らかくかつ鋭い動きで打つという動作にも、果てなき深さがある。
ツキがなくなったときも基本を忘れることなく自らを修正し、ベストなバランスを回復できる。そういう者にこそ、ツキは微笑むのである。