麻雀の“代打ち”として名を馳せ、20年間無敗。いつしか人々はその男を「雀鬼」の異名で呼ぶようになった。運が左右するゲームで決して「負けない」。そんなことは可能なのか。あまたの死闘から体得した勝負の真髄を語った、セブン‐イレブン限定書籍『運に選ばれる生き方』より特別公開する──。(第3回/全3回)

※本稿は、桜井章一『運に選ばれる生き方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

勝負運を持続させる人は「全体観」を持っている

勝負運を持続させるために必要なことのひとつに、「勝負の流れの中における準備」というものがある。勝負に弱い人と強い人の差が端的に表れる部分だ。

勝負に弱い人は、「ここぞ」という勝負所で、焦りなどから目の前のことしか見えなくなってしまう。

一方、勝負強い人は、そんなときでも広い視野を失わずにいられる。目の前のことだけでなく、まわりの状況を冷静に感じる「全体観」を保っていられるのだ。

全体観を持っていれば、勝負の流れの中で、自然に次の準備をすることができる。

二の矢、三の矢の「そなえ」が重要

一の矢を放ったあとに、いかに二の矢、三の矢を準備できるか。一の矢を放っておしまいでは、運の流れはそこで途切れてしまう。二の矢、三の矢、それに続く矢を次々と準備し、放っていくことが勝負運の流れを続かせることになる。

刺さっている青いダーツの矢
写真=iStock.com/stock_colors
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麻雀でも勝負強い人は、次々と矢を準備して絶妙なタイミングでそれを放ってくるものだ。

勝っていても、上がることだけにとらわれず、全体の流れを見ているため、不意打ちをくらっても乱れることがない。即興かつ矢継やつばやになされる準備によって、運の流れが途絶えることがないのだ。

矢の準備が必要なのは、優勢の流れのときだけではない。劣勢で負けそうなときも矢の準備はとても大切だ。

勝負の流れを急に変えることは難しいが、徐々に変えていくことは工夫すれば可能だ。その流れを変えていくために欠かせないのが、やはり二の矢、三の矢だ。

矢は必ずしも有効とは限らない。一の矢がダメなら二の矢、そして三の矢と、どんな情勢のときでも次の対処法なり対策を考えられるのが、勝負強い人の準備なのだ。