麻雀の“代打ち”として名を馳せ、20年間無敗。いつしか人々はその男を「雀鬼」の異名で呼ぶようになった。運が左右するゲームで決して「負けない」。そんなことは可能なのか。あまたの死闘から体得した勝負の真髄を語った、セブン‐イレブン限定書籍『運に選ばれる生き方』より特別公開する──。(第2回/全3回)

※本稿は、桜井章一『運に選ばれる生き方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

運に選ばれる人の条件

「ツイてたな」

長い人生、誰しもそう感じる経験はあるだろう。小さなものから大きなものまで、実は、運はそこらじゅうにただよっているものであり、その恵みに触れることのない人生はない。

それにしても「運」や「ツキ」とはいったい何なのか? 運について想いを巡らすとき、あなたは不思議な気持ちにならないだろうか。

見ることができなければ、手で触れることもできないもの。どこからかやって来て、また気まぐれにどこかへ去って行ってしまう。どこまで掘り下げても、運はその「正体」を見せてはくれない。

京都市下ヶ茂神社鳥居門
写真=iStock.com/Sanga Park
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真剣勝負の舞台が生んだ「無敗の雀鬼」

私はかつて麻雀の裏プロの世界で20年間、真剣勝負を重ね、「無敗の雀鬼」という異名で周囲から呼ばれたことがあった。

私にとって、もはや過去のことであり、誇ることでもまったくないのだが、このときの経験が大きな影響を与え、今の私をつくったことは確かである。

「20年間無敗」と聞き及んだ人から、「なぜ運が影響するゲームで勝ち続けることができたんですか?」とよく尋ねられる。麻雀においては、ご存じの通り、「運」や「ツキ」といったものが勝負の流れを大きく支配する。「運は偶然の産物だったりするはずなのに、なぜ?」という疑問である。

だが、私は「運は偶然ではない」と考えている。しかるべき行動を取れば、運の流れというのは必然的にやって来ると思っているからだ。そのことを私は、幾度も幾度も繰り返された麻雀の真剣勝負から教えてもらった気がする。