ホンダの「脱エンジン」は、ほぼゼロからのスタート
ホンダは、先進国全体でEV、FCVの販売比率を2030年に40%、2035年には80%を目指し、2040年に100%達成というシナリオを描く。
地域別の目標も示し、ホンダにとっての最大市場である北米ではアライアンスを結んだ米最大手のゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発した大型EV2車種を2024年モデルとして投入するなどにより、先進国全体と同じ販売ペースでの電動化に取り組む。
北米に次ぐ重要市場に位置づける中国も今後5年以内に10車種の「ホンダ」ブランドのEVを投入し、同様に2030年=40%、2035年=80%、2040年=100%を目指す。
ホンダの2020年の世界販売台数は445万台で、EVとFCVの販売比率は1%にも満たない。それだけにホンダの「脱エンジン」は、ほぼゼロからのスタートであり、目標実現のハードルは極めて高い。
ただ、2020年10月に2021年シーズン限りでF1からの完全撤退を発表した際、当時の八郷隆弘社長(現取締役)は撤退の理由を「カーボンフリー技術の投入をさらに加速するため」と語り、「再参戦はない」と断言した。
トヨタも電動車販売を「2030年に800万台」に引き上げ
ホンダの「脱エンジン」に挑む本気度は三部社長も受け継ぎ、今後6年間で5兆円の研究開発費を投入し、EV専用工場も検討するなど、経営資源を「脱エンジン」に全集中する姿勢を今回の電動化計画で鮮明にした。
一方、ホンダの先制攻撃を受けた格好のトヨタは黙ってはいない。
5月12日の2021年3月期連結決算の発表に合わせて、2030年を目標に据えた電動化計画を公表した。
トヨタは2017年末、2019年に電動化計画を発表しており、今回は「トヨタは2050年までにカーボンニュートラルを達成するという世界的な目標に100%コミットしている」(ジェームス・カフナー取締役)として計画を見直し、EV、FCVにHVを含めて日本、北米、欧州、中国と4つの地域別にそれぞれの販売比率を初めて公表した。
その内容は、ホンダの計画と比べ、具体的に販売台数目標を提示するなどより詳細だ。目標に据えた2030年のHVを含む電動車販売は世界で800万台と、2019年の「2025年時点で550万台」から引き上げた。EVとFCVだけに絞っても200万台とし、従来目標の100万台から倍増した。