学校ではどのように使われているのか?

早い学校では、20年のうちに1人1台の端末を使った授業を展開している。東京都狛江市の狛江第五小学校の2年生のクラスでは、同年10月に1人1台のiPadが届き、かけ算の学習で使った。

「箱の中に並んだチョコレートの数の数え方を、かけ算の仕組みを踏まえて、パワーポイント上で考えてもらいました。チョコレートは、画面上で動かすことができます。移動してまとまりをつくったり、ブロックに分けてかけ算したあと、足したり。その考え方と式をそれぞれの児童がパワーポイント上に記入して、チームズ上で共有し合いました」

出所=『プレデントFamily2021年春号』
算数の授業風景

こう語るのは、クラス担任の柏原直子先生。子供たちが夢中で取り組んでいるのが印象的だったという。

「画面上で動かせるので、試行錯誤ができ、何通りも思いつくようでした。じっくり考えたりする子もいれば、早くできた子は友達が共有したものを見て、『いいね』を押したりする。これまでにも同じような授業を紙でやってきたのですが、皆が書き終わってから発表していたので、長く待たせることもありました。しかし、端末を使うとそれぞれのペースで学習でき、集中できていた点が、とてもいいと思いました」(柏原先生)

複数人での協働学習も端末を使うとスムーズだったと語るのは、愛知県春日井市の高森台中学校、社会科教諭の小川晋先生だ。

「当校ではクロームブックを使っているのですが、ジャムボードというデジタルホワイトボードを使って、2人一組になって『オセアニアはどのように発展したのか』について考え、発表してもらいました」

2人で一つのスライド(ホワイトボード)を共有し、各自が教科書を見ながら、課題に合う情報を「付箋」機能を使って書き出していく。そして、その情報を、「昔」と「今」に整理し、言語化していく。

「授業では、他グループのスライドも見られるようにしました。すると、やり方がわからない子は別グループを参考にしながら、自分たちで進めることができた。付箋を使って試行錯誤させる授業は以前も紙でやっていたのですが、1人に説明している間、ほかの生徒を待たせたり、紙ゴミが大量に出たりして、ロスが大きかったんです。それが『試行錯誤する』といういい点だけを残してスムーズに実践できたのは驚きでした。これなら授業中に思考力や判断力、表現力を育む取り組みがたくさんできそうです」(小川先生)

狛江第五小学校の富岡佑太先生も同様の感想を語っていた。

「国語の授業の感想や社会科の調査発表で、付箋機能を使って考えを整理したり、友達の考えを見て、自分の考えを深めたりすることができています。授業のなかで思考方法を身に付けられるようになったところが、素晴らしいと思いました」

出所=『プレデントFamily2021年春号』
国語の授業風景

新学習指導要領の「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」。そして「個別最適な学び」と「協働的な学び」。これらを実現するために、ICTは効果的だと、先生たちは確かな手ごたえを感じている。