文部科学省の教育改革の本丸「大学入学共通テスト」。今年1月に実施された第1回の出題問題から見えてきた“これから求められる学力”とは何か。大手予備校の講師と名門高校教諭が第2回目以降に受験する生徒向けに国語と数学に関してアドバイスしてもらった――(前編「国語」/全2回)。
東京大学
写真=iStock.com/mizoula
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初の大学共通テスト「国語」で試された学力は何か

■国語
試験時間:80分
配点:200点〈近代以降の文章2問:計100点、古文1問:50点、漢文1問:50点〉
大学入学共通テスト「国語」
出所=『プレジデントFamily 2021春号』

センター試験に代わり、「思考力」「判断力」「表現力」を問う目的で始まった共通テスト。2017年、18年に行われたプレテスト(試行調査)では、生徒会の規約や法律の条文など、日常生活に近い、実用的な題材を使った問題が注目された。

その後、記述式問題の撤回などもあり、受験生にとっては不安の中での試験となった。駿台予備学校の現代文科講師を務める清水正史氏は次のように見る。

「今回の共通テストは、センター試験を踏襲した部分が大きい印象でした。論説文も小説も、文章の正確な読み取りを測る設問は、センター試験から引き継がれた形式でした。しかし、設問の後半部分では、複数の文章を関連付けて考えさせる問題が出題されました」

論説文では本文の要旨をNさん(生徒)がまとめたノートや、芥川龍之介の『歯車』が、小説では本文に対する「時事新報」の批評が掲載され、それを本文と関連付けながら考察する問題が出された。

「どちらも資料と本文との関係性や本文に対してどのような視点を持って書かれた資料か、といった点を考えて解いていく必要があります。正答を導くには、正確に本文を読み解く力に加え、二つの力が問われます。一つは複数の資料から情報を読み解く力。もう一つは本文の主張をより深く読み取ったり、本文と異なる視点に立って考えたりする力です。本文の書き手や、主人公の気持ちを追うだけでなく、資料の書き手や評論家の視点に自分を置き換えて考えてみる必要があるため、高度な読解力が問われることになります」

複数資料問題の配点は、論説文で50点中19点、小説で50点中12点と大きな比重を占めている。

「今後はプレテストで見られたような図表やポスター、会話文なども扱われる可能性があります。二つの力の重要性は高まっていくでしょう」

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