文部科学省の教育改革の本丸「大学入学共通テスト」。今年1月に実施された第1回の出題問題から見えてきた“これから求められる学力”とは何か。大手予備校の講師と名門高校教諭が第2回目以降に受験する生徒向けに国語と数学に関してアドバイスしてもらった――(後編「数学」/全2回)。
京都大学
写真=iStock.com/TkKurikawa
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問題が長文化、大学共通テスト「数学」は国語力がないと解けない

前編(国語)から続く。

■数学
試験時間:1A:70分 2B:60分
配点:各100点
【図表】数学
出所=『プレジデントFamily 2021春号』

プレテストでは平均得点率が30%台と、難化が予想されていた数学だが、実際の平均得点率は昨年のセンター試験より高かった。

「問題文の読解や立式は難化、計算は易化という印象です。問題文が数ページにわたり、条件を整理する力を問う問題が増えました」

そう語るのは、筑波大学附属高校教諭の山田研也氏だ。

「特に注目を集めたのが、数1Aの大問2です。陸上競技でいかに速く走るかという日常生活と密着したテーマについて、数学的にとらえる問題となっています。この問題は、式を立てることができれば、計算自体は易しいのですが、文章を読み解き式を立てることができなかった生徒が少なからずいました。日本数学教育学会の調査によると、式を立てられなかった生徒の約半数は、式さえ立てられていればその後の計算はできていたという結果が出ています」

駿台予備学校数学科講師・小林隆章氏も次のように語る。

「問題が長文化したことは大きな変化です。馴染みのない文章や会話文を読み、与えられた用語や記号をその場で正しく理解したうえで解き進めなければなりません。生活のあらゆる場面に数学が活かされていることを知ってほしいという出題者の意図を強く感じる問題でした。数学の応用事例を知っている子であれば、場面をイメージしたり、活用法を想像したりしやすいはずです。今後もこうした実例を使った出題が増えていくでしょう」

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