東京や大阪などの大都市での不動産売買が大きな影響をもたらすことはないだろうが、宮古島など小さい島は不動産相場が都市部よりも安価であるため、あっという間に投機の対象にされてしまう。コロナによって人の往来にストップがかからなければ、“日本の地方都市の中国化”は確実に進んでいただろう。

気づいたときには手遅れ

姫田小夏『ポストコロナと中国の世界観 覇道を行く中国に揺れる世界と日本』(集広舎)

日本全体がすぐに中国に飲み込まれるとは言えないが、大きな時流の中で、それは間違いなく進んでいくと筆者は考えている。それぐらい前代未聞の事態を引き起こす可能性があるのが、中国という大国の影響力の怖さである。

そのきっかけになるのは、不動産投資と人の移動だ。日本政府は2020年に入ってようやく外国人や外国資本による土地取得を制限する検討を始めた。とはいえ、それは米軍や自衛隊などの施設、あるいは原子力発電所周辺など安全保障上の懸念のある地域が対象であり、住民保護の視点はない。

気づいたときには手遅れ――というのが香港の示唆でもある。14億人という世界最大の人口を抱える世界第2位の経済大国を隣国とする以上、日本は土地取引と人の移動については慎重に対応すべきだろう。

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