3月16日、岸信夫防衛相とオースティン米国防長官の会談が行われ、自衛隊と米軍による共同演習が実施されることとなった。ひとつの目的は、尖閣諸島周辺をはじめとする領海侵犯への警戒だ。ジャーナリストの宮田敦司氏は「尖閣諸島にはこれまで中国の民間人が上陸しているが、日本はまともに対応できていない。中国軍を想定した有事への準備ばかり重ねても意味がない」と指摘する――。
2006年10月22日、香港の船上でスローガンを叫び、中国の国旗を振る活動家たち。横断幕には「日本は釣魚島から出て行け」と書かれている。
写真=ロイター/アフロ
2006年10月22日、香港の船上でスローガンを叫び、中国の国旗を振る活動家たち。横断幕には「日本は釣魚島から出て行け」と書かれている。

中国の領海侵犯を警戒した日米合同演習を予定

3月16日、日米両政府は、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会を東京で開催した。バイデン政権発足以来、閣僚の来日は初となる。防衛省では岸信夫防衛相とロイド・オースティン米国防長官による会談が行われた。ここでは、尖閣諸島(沖縄県)に対して日米安全保障条約第5条が適用されることを再確認したほか、中国への警戒の一環として、自衛隊と米軍による共同演習を実施する方向で一致した。

この演習には、日本側は陸海空の自衛隊、米側は海兵隊と陸海空軍が参加する予定になっている。中国海警局船舶の尖閣諸島周辺での動きを受けて、防衛省もようやく重い腰を上げたわけだ。先立つ2月26日の岸防衛相の記者会見では、尖閣諸島に外国公船から乗員が上陸を強行しようとした場合に、相手の上陸を阻止するため、自衛隊による「危害射撃」が可能との見方が示された。