働くことに躊躇「中学の時のように、馬鹿にされたらどうしよう」

筆者との相談から半年がたった頃、母親から「長男がサポステで支援を受け、アルバイトをすることになりました」という報告がありました。母親からその経緯を教えてもらいました。

母親からお金の見通しやサポステの話を聞いた長男は「ちょっと考えさせてほしい」と答えたそうです。母親は長男を急かすことなく、長男からの返事を待つことにしました。

長男は「中学の時のように、また馬鹿にされたらどうしよう。自分のことを受け入れてもらえなかったらどうしよう」と、どうしても不安や恐怖が先だってしまったそうです。

しかし同時に「やっぱりこのままではいけない。何とかしたい!」といった思いも生まれてきました。そしてその思いの方が不安や恐怖よりも少しだけ勝りました。

母親からサポステの話を聞いてから1週間後、長男はサポステで支援を受けることに決めました。ただし最初から一人で行くことがどうしてもできなかったので、母親に頼んで一緒にサポステへ行ってもらうことにしたそうです。

不安な気持ちを抱える長男をサポステの支援者たちは温かく迎え入れてくれました。長男の担当になったのは50代の小柄な女性。その担当者は長男の話を否定することもなく、途中で受け答えに詰まってしまった長男が再び口を開くまでじっくりと待ってくれました。そのような対応をしてくれたため、2回目以降は一人で行けるようになったそうです。

人生初の仕事はショッピングモールの早朝清掃

長男は担当者との面談を繰り返す中で、自分の好きなこと、嫌いなこと、出来そうなこと、無理そうなこと、やってみたい仕事のことなど、時間をかけて様々なことを語りました。面談と並行してスキルアップ講習もいくつか受けていきました。ある程度の下地ができ上がってきた頃、担当者から「そろそろ職場体験をしてみませんか?」という提案を受けたそうです。

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「とうとう仕事をする時が来た。自分にはできるだろうか?」という不安もありましたが、その一方で「早く仕事をやってみたい」という気持ちも芽生えていました。

担当者と話し合った結果、ショッピングモールの早朝清掃を体験することに決めました。