「若手が走れるように」と粋な計らい

【横山】その赤塚さんがスポンサーでZenyという名前をつけて、あの「シェー」のイヤミのマークが描かれたレーシングカーなんです(笑)。で、TMSC(トヨタ・モーター・スポーツ・クラブ)の藤田直広さんとか新堂英樹さんとかスゴいレーサーがいらっしゃって。その新堂さんが新しい父の同僚で親友だったので、そこからいろいろ縁も広がって。

写真=iStock.com/Tramino
※写真はイメージです

野地さんの『キャンティ物語』に出てくる福澤幸雄さんとか、川合稔さんとか、鮒子田ふしだ寛さんとか名だたるレーサーはワークスなんですけど、もうちょっとプライベートに近い感じ、で、赤塚不二夫さんのチームという。かなり投資されたみたいですけど。

【編集S】ゼニがない若いドライバーがレースで走れるようにと赤塚さんが銭を出して……ということのようですね。

【野地】それでゼニー。すごいなあ、赤塚さん。

楽曲はクルマ愛がこもったものばかり

【野地】横山さんのお父さんは何に乗ってたんですか。

【横山】当時はパブリカとか、S800とか、ヨタハチですね。それとコロナ ハードトップ、カローラ……歴代カローラですね。で、最終的には、あ、今も乗っていて、ちょっと車名は忘れましたけど、トヨタのワンボックスに乗ってます。加山雄三さんの一個下なんで、今82歳です。

【野地】それが2番目のお父さん。

【横山】初代も生きてて94歳、昭和元年生まれです。母も健在で、83歳。

【野地】クルマの歌がたくさんあるのは、やはり2番目のお父さんの影響が大きいですか。

【横山】もありますし、1番目の父親的には6歳のときに『グラン・プリ』というフォーミュラワンの映画、これを一緒に見に行って、あそこからもうモータースポーツ熱は始まりましたね。三船敏郎さんとジェームズ・ガーナーとイヴ・モンタンと……。

【野地】豪華出演陣。

【横山】はい、レースシーンがカッコ良くて夢中になって観ました。

で、その後、僕がいわゆる市販車としてトヨタを意識したのは、やっぱり1600GT。それからTMSCで高橋晴邦さん、見崎清志さん、鮒子田さんなんかが走っているのに憧れて。

【野地】それは2000GTですか。

【横山】僕がサーキットで見たのは1600GTです。2000GTは谷田部のコースで世界記録を出したんですね。

【野地】ご自身も乗っていたんですか。

【横山】今、オークションで1億円もするもので買えないです。

【野地】まだ走ってるんですかね。

【横山】走ってます。ラフェスタ・プリマベーラにも出てます。あ、この本に出てくる人が乗ってますよ。名古屋トヨペットの!

【野地】小栗一朗さん?

【横山】そう、小栗さん。