優勝まで「階段は一つひとつしか上がれないんだ」
明豊は、今回の準優勝により九州で揺ぎない地位を築いたと言えるだろう。優秀な選手が九州だけではなく、最近は北海道からも来るようになったという。
在九州の新聞記者はこう言う。
「ナンバーワンのタレントぞろいになってます。福大大濠(福岡)、創成館(長崎)、神村学園(鹿児島)辺りが積極的に選手勧誘をしますが、その学校が有力選手を訪ねても、明豊に行きたい、と断られることが増えている」
甲子園の常連校になったこと。川崎監督の人柄に触れたい高校生が増えているのだ。
明豊は昨秋の九州大会ベスト4。そこからセンバツ決勝戦まで駆け上がった。
「東海大相模にしてもそうですが、秋から成長率の高かった学校が最後まで残った」と前出の記者は言う。
自分たちの立ち位置を把握し、足りない部分を的確に埋めることができる。だからこそ、地力をつけてこられたのだ。2017年夏の甲子園で2勝、2019年春に3勝、そして今回4勝して準優勝。川崎監督の決勝戦後の会見で印象深かった言葉があった。
「階段は一つひとつしか上がれないんだなと。まだ、優勝には早いと言われているのだと思います」
そして言葉をつづけた。
「あと、一つの階段を登るため、夏へ特別なことはしない。同じことの精度を上げること。継続して積み上げたい」
コツコツと重ねていく。川崎監督の生き方そのものが、実証される日は近いはずだ。(一部敬称略)