日本人は世界でいちばん不安を感じやすい

第1波が収束してから、私のクリニックで目立って増えたのが介護職員の方からの相談でした。テレビでは医療崩壊ばかりが強調されますが、介護崩壊も切実です。介護は、人と人とのふれあいそのもの。

それだけに、「自分が感染させたらどうしよう」「入所者にうつしたらどうしよう」「職場に迷惑をかけたくない」と悩み、シャムズに陥る人が多いのです。なかには、うつが悪化して休職を余儀なくされる人もいて、ただでさえ人手不足の現場がさらに大変な状況になっています。

介護職員に限らず、シャムズに陥りやすいのが、「他人様に迷惑をかけたくない」という気持ちの強いまじめな人です。

そもそも日本人は、世界でいちばん不安を感じやすく、まじめな国民です。だからこそ、お上の指示に従いやすく、ステイホーム症候群がまん延し、シャムズに悩む人が増えてしまったのだと思います。

新型コロナは、国にとっても初めての経験なので、最初からすべてが上手くいくわけがありません。政治家が間違ったリードをしてしまうこともあるでしょう(繰り返しますが、ステイホームというスローガンは間違いだったと思います)。それを反省して、間違いは間違いと認め、今後に生かしてほしいと思います。

視聴者のコロナ不安を煽るばかりのワイドショー

なぜ、ステイホームを続けているうちにメンタル不調に陥るのかといったら、ストレスと不安が最大の敵だからです。ストレスほど怖いものはありません。

これまで、多くの人が抱えていたストレスは、夫婦仲が悪い、子どもとの関係が悪いといった家族の問題、あるいはパワハラや過重労働といった職場の問題が主でした。そこにどーんと重くのしかかったのが、コロナストレスです。

写真=iStock.com/deepblue4you
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家にいると、ついテレビばかり見てしまう人は多いと思いますが、第1波が収まったあとも、しばらくは、テレビをつければワイドショーはコロナの話題一色でした。どの番組も「今日は新たに◯◯人の感染が確認されました」「今日はどこどこでクラスターが発生しました」と、毎日毎日、新規感染者数を紹介し、視聴者の不安を煽っています。

テレビでは、PCR検査で陽性となった人を「感染者」としてまるでワルモノのように報道しますが、「PCR陽性者=感染者」ではありません。PCR検査で調べているのは、ウイルスが唾液中や鼻の中にいるかどうか。

一方で感染は、ウイルスが体内に入って、さらに細胞内に入り込んで初めて成立するので、唾液中にウイルスが見つかってPCR陽性となっても、感染しているとは限りません。当然、他人にうつす力があるとも限りません。でも、そんなことはテレビでは説明しませんよね。